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「Outlookを取り込んで」コミュニケーション市場へ食い込みを図るサン

~「Microsoft製品との相互運用で広がるSunのソフトウェア・ソリューション」セミナー

 サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)は、米Sun Microsystemsと米Microsoftとの和解成立、またそれにともなう10年間技術協力の合意がなされたことを受け、サンとマイクロソフトのソリューションの統合運用に関する説明会を開催した。サンでは統合メッセージングソリューションとして「Sun Java System」製品群(旧名称「Sun One」)を提供しているが、中核となるメールサーバーソフトウェア「Sun Java System Messaging Server」ではすでに1億5000万以上のインストールベースを保有し、企業セグメントにおいて確実な地位を築いてきたという。サンではこうした実績を背景に、現在マイクロソフトの「Exchange Server」を導入、もしくは導入を検討している企業に対し、Sun Java Systemへの移行を提案している。今回はこうした同製品群の新しいアプローチについて、同社のテクノロジー・ソリューション技術本部 ソリューションスペシャリスト、大森明央氏が説明を行った。


Exchange Serverを取り巻く現在の状況

テクノロジー・ソリューション技術本部 ソリューションスペシャリスト 大森明央氏
 企業内においてメール、スケジュール調整、掲示板などメッセージングサービスの需要は高い。マイクロソフトの「Exchange Server」、IBMの「Lotus Domino」などさまざまなベンダーがメッセージングサービス市場に参入しており、もちろんサンも「Sun Java System」で以前からこの市場に参入している。大森氏はExchange Serverを取り巻く現在の状況について、次のような問題点を挙げている。

・Exchange Server 5.5のEOL(End of Life)
・Exchange Server 5.5のサポート費用値上げの懸念
・Exchange Server 5.5のサポート終了期日
・Exchange Server 5.5からExchange Server 2000/2003へのアップグレードへの懸念
・新しいライセンスプログラムへの変更

 つまりWindows NTベースでExchange Server 5.5を使用していたユーザーにとって、Exchange Server 5.5のEOLと、それに伴うサポート終了や保守費用の値上げなどが大きな問題になると指摘しているのである。この問題を解決するにはExchange Server 2000や2003へのアップグレードをすることになるが、その場合OSも同様にアップグレードする必要があり、非常に手間がかかる。そこで、サンではExchange Serverのアップグレードの代わりに、Sun Java Systemへの移行を提案しているのである。

 Sun Java Systemの対応プラットフォームは、Solaris 8(SPARC版)、Solaris 9(SPARC版、x86版)であるが、次のバージョンではLinux(Red Hat Eenterprise Linux AS 2.1 u2)にも対応するという。対応プラットフォームが多く、またシステムの拡張などにもスケーラブルに対応できることもSun Java Systemのメリットである。さらに、大森氏はExchange ServerとSun Java Systemにかかる3年分のTCOを比較した場合、Exchange Serverの場合1ユーザーあたり438.75ドルであるのに対し、Sun Java Systemでは213.57ドルであると述べ、コスト面でのSun Java Systemの優位性を強調した。


クライアントはOutlookのまま、サーバーサイドのみを変更可能

Connector for Microsoft Outlookのアーキテクチャ
 Exchange Serverから別のメッセージングサービスに移行する場合、問題となるのがクライアント側のアプリケーションである。Exchange Server環境ではメールクライアントやほかのユーザーとのスケジュール調整に「Outlook」を利用する方法が一般的である。もし、クライアントアプリケーションとしてOutlook以外の製品を導入する場合、トレーニングなど余計なコストが必要となる。そこでサンでは「Sun Java System Connector for Microsoft Outlook(以下、Connector for Microsoft Outlook)」を使用し、クライアントサイドにOutlookを利用したままで、サーバーサイドにはSan Java Systemを利用する方法を提案している。

 Connector for Microsoft Outlookでは、OutlookとExchange Serverとの連携と同様に、MAPI(Messaging Application Program Interface)を利用する。つまり、Outlookなどの既存のWindowsアプリケーションとConnector for Microsoft OutlookがMAPIを使って連携し、Sun Java Systemを利用できるようにするのである。Connector for Microsoft Outlookのシステム要件として、OSはWindows 2000(Service Pack3以降)あるいはWindows XP(Service Pack2以降)、OutlookのバージョンはOutlook 2002 SP2およびOutlook 2000 SP3(Workgroup mode)である。ただし、Outlook 2000 SP3から利用する場合には、追加モジュールが必要となる。

 OutlookからConnector for Microsoft Outlookを介してSun Java Systemを利用した場合と、Exchange Serverを利用した場合を比較すると、「仕事や予定にデータを添付」「送信済みメールの取り消し」などExchange Server特有の機能が一部利用できない。しかしメールの送受信やスケジュールの調整など主要なグループウェアの機能はほぼ網羅している。


クライアントOSを選ばないSun Java Systemのメリット

 WindowsクライアントにおいてOutlookを利用するユーザーは多い。しかし、SolarisやLinuxベースのクライアントでは利用できない。そこでサンでは、これらの環境下でも使えるグループウェアとしてSun Java Systemを提案し、クライアントのOSを選ばないWebアプリケーションクライアントとして「Sun Java System Communication Express(以下Communication Express)」を提供している。Communication ExpressはWebカレンダーなど主要なグループウェアの機能は網羅しながら、Outlookに近い操作が可能なグループウェアである。

 またSun Java Desktop Systemなどに含まれている、メール/カレンダークライアント「Evolution」からSun Java Systemサーバー製品群にアクセスするためのモジュールとしては、「Sun Java System Connector for Evolution」を提供している。


コミュニケーションサービスの今後

 出社後まずメールを確認し、その日のスケジュールを調整する…のように企業内でコミュニケーションサービスは欠かせないものとなっており、企業向けコミュニケーションサービス市場は毎年15%以上の成長率で拡大している。大森氏は「コミュニケーションサービスは業務に多大な影響をおよぼすミッションクリティカルなシステムです」と語り、コミュニケーションサービスの重要性と、この市場にサンが積極的に関わっていくことを表明している。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  Sun Java System Messaging Server
  http://jp.sun.com/javasystem/messagingserver/


( 北原 静香 )
2004/06/14 18:39

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