経済産業省新規事業創出促進法認定事業として、中小企業の情報化を支援するオープンコンサルティングプロジェクトが発起人となり、4月21日にIT関連企業など12団体の参加で設立された「EC実践サポーターズ」は6月15日、IT人材育成を目的とした「EC実践能力検定試験」を日本商工会議所と連携して創設したことを発表した。
また検定試験3級以上に合格した中小企業に対して、ハードウェア、ソフトウェア、通信回線からサポートまでをパッケージ化し、専任コンサルタントにより3カ月で導入を行う「ITインフラパック」を提供する。
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日本商工会議所 常務理事 篠原徹氏
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「IT化は中小企業にとっても大きな経営資源だが、導入運用コストと人材不足がこれを阻んでいる」とした日本商工会議所 常務理事の篠原徹氏は、EC実践能力検定試験について「実務で求められる知識、スキルを習得するもの」とした。検定はインターネットを通じて行われ、すでに4月から3級の検定が先行実施されている。今後2級が10月から、1級は2004年度下期から、最上級となるECマスターは2005年度より施行の予定。
また検定とともに、電子商取引やITの運用を体験する研修を来月から全国で実施する。また自宅で継続学習できるeラーニングも提供する。篠原氏は「検定試験での資格付与は、学習の到達度を客観的に測る目標として、モチベーションになる」とした。そして「教材、研修、検定試験をセットで提供することで、これまで進まなかった中小企業のIT化を一気に推進することを目指している」と述べた。
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オープンコンサルティングプロジェクト代表 桑山義明氏
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ITインフラパックの概念図
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EC実践サポーターズ参加各社の面々
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オープンコンサルティングプロジェクト(OCP)代表 桑山義明氏は、ITインフラパックについて「ネット社会に必要なインフラを、コンサルタントが最低3カ月担当して企業の要件に合わせ、3年契約で提供する」とした。具体的には独自ドメインのメールアドレス取得、グループウェアによる情報共有、Webサイトの開設・運営、VPNによるリモートアクセスなどのサービスが提供されるという。
コンサルティングはOPCの60名と、Microsoft Certified System Coordinator(MSCS)200名が担当する。ハードウェア/ソフトウェアや通信インフラについては、「研修会場と同じものを、短い時間で提供するため」、EC実践サポーターズ参加企業から提供されたものを標準仕様とする。桑山氏は「初年度は1000~2000社に、サポート込みで月額5万円程度で提供したい」とした。
EC実践サポーターズ参加企業からは、マイクロソフト株式会社がOS「Small Business Server 2003」やグループウェア「GroupBoard」、Officeなどを提供する。またトレンドマイクロ株式会社がアンチウイルスなどのセキュリティソフトウェアを、株式会社オービックビジネスコンサルタントが電子商取引との融合した基幹業務システムを提供する。
日本電気株式会社では、サーバーやPCの提供と導入・保守を、株式会社バッファローでは無線LANを中心としたネットワーク機器を、株式会社エヌ・ティ・ティ エムイーではインターネット回線を提供、インテル株式会社では、サーバー/PCの活用・運用を支援する。
またサポートはNECフィールディング株式会社が提供する。株式会社パソナでは人材支援と育成を担当、株式会社シーガルではeラーニングコンテンツ提供やコンサルティングを行う。このほか電子商取引推進協議会、サイバーシルクロード八王子、日本ユースウェア協会、非営利活動法人ITユーザーサポート、日経パソコン、日本商工会議所などが参加している。
■ URL
オープンコンサルティングプロジェクト
http://www.olconsul.com/
ニュースリリース(OBC)
http://www.obc.co.jp/NEWS/RELEASE/news_040615.html
ニュースリリース(バッファロー)
http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/new/2004/017_1.html
( 岩崎 宰守 )
2004/06/15 15:31
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