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「HPCサーバー市場にもオープン化の波」IDC Japan調査


 IDC Japan株式会社は6月17日、2003年の国内HPC(High Performance Computing)サーバー市場動向についての調査結果を発表した。

 それによると、2003年の国内HPCサーバー市場規模は553億円と、2002年より41.1%の大幅な減少となった。これは2002年に超大型スーパーコンピュータシステム「地球シミュレータ」の出荷があったことの反動が最も大きな原因だという。

 しかし、地球シミュレータを除いた数字でも、2002年より10.7%減少している。同社ではベクトル型スーパーコンピュータ、UNIXを搭載するRISCサーバー、Windows/Linuxを搭載するx86サーバー、IA64サーバーに4分類しているが、比較的安価なx86サーバーによるHPCクラスターシステムやIA64サーバーが、ベクトル型スーパーコンピュータやRISCサーバーの需要を奪ったことが市場規模縮小の要因であるとのこと。2003年に入ってx86サーバーによるHPCクラスターシステムの有用性が認知されてきたことや、グリッドコンピューティング関連の大型案件が多かったことでx86サーバー市場は109.1%増と3ケタのプラスの急成長を遂げた。またIA64サーバーも市場の立ち上がり時期のため、3ケタのプラス成長となった。

 ベンダー別にみると、NECが出荷金額シェアで27.9%を獲得し首位、2位には18.3%を占めた富士通が入った。国内HPCサーバー市場では、国立の研究機関や大学向けの出荷が市場の半分以上を占めており、国立の研究機関や大学と結びつきが強い両社が上位を占めた。なおNECは国内ベンダーで唯一ベクトル型スーパーコンピュータの販売に力を入れており、同製品の需要を一手に獲得している。

 2004年の国内HPCサーバー市場は、出荷金額が前年比で9.1%減少すると同社は予測している。サーバーリサーチアナリスト石井昌英氏は、今後のHPCサーバー市場について「x86サーバーやIA64サーバー、Linuxなど基本仕様が共通で価格性能比の高いプラットフォームを採用する割合が高まってくる。サーバーベンダーは、サービス面の充実や総合的なシステムの付加価値でいかに差別化を図るかが重要となる」と述べている。



URL
  IDC Japan株式会社
  http://www.idcjapan.co.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2004/06/17 19:34

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