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米Microsoftフランクス氏「64ビットがサーバーのメインストリームを占める」

~Microsoft Windows 64-bit Technology Tour 2004

 6月22日にマイクロソフト株式会社の主催で行われたイベント、「Microsoft Windows 64-bit Technology Tour2004」において、「Windows 64-bit ロードマップと市場機会」をテーマに、米Microsoft デベロッパー&プラットフォームエバンジェリズムグループ テクニカルエバンジェリスト マーク・フランクス氏が講演を行った。


マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 執行役本部長 鈴木協一郎氏

マイクロソフト製品のロードマップ
 まず挨拶を行ったマイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 執行役本部長の鈴木協一郎氏は米Accentureの調査資料を示し、「現状ではIT投資の7割を運用コストが占めている。64ビットコンピューティングによりこれに変化をもたらし、ビジネスの俊敏性を向上しなければ生産性の向上は困難になる」とした。

 そして来年リリース予定のVisual Studio 2005(開発コードWhidbey)、SQL Server 2005(同Yukon)では、64ビットをサポートすることで、「Windows、SQLプラットフォームでの64ビットアプリケーション開発を容易にする」とした。その詳細は7月に開催されるソフトウェア開発者向けのイベント「SODEC」、同9月の「TechED」で紹介されるという。

 また「64ビット市場は常に視野に入れている」と述べた同氏は、「LonghornのWinFXでは、開発がさらに容易になるだろう」と示唆した。64ビット環境での恩恵として真っ先に挙げられるメモリ領域の拡大によるメリットとして同氏は、処理能力の向上のほかに、「安定性、スケーラビリティ」を挙げた。またエンタープライズ分野だけでなく、「画像やデータ、またWebフロントエンドでのアクセス大量処理にもメリットがある」とした。


インテル株式会社 エンタープライズ&ネットワーク ソリューション本部 ソフトウェアソリューショングループ部長 栂野 平氏
 インテル株式会社 エンタープライズ&ネットワーク ソリューション本部 ソフトウェアソリューショングループ部長の栂野 平氏は、「Itanium 2のシステムは、2003年後半から今年にかけて国内外のベンダーから製品提供が拡大し、1Wayから128Wayまで50種類以上のラインアップがそろっている」とし、「対応アプリケーションも1,000を超え、企業での採用も増えている」と述べた。

 Itaniumは「HPのアーキテクチャとシステム構造の経験、CompaqのAlpha技術者を統合したCPU。明示的並列処理、6MBの大容量キャッシュ、128本の汎用レジスタなど、大規模データの取り扱いが前提の設計となっている。またシリコン自体、さらなる拡張性が考慮されている」と述べた。同社ではエンタープライズ向けに2つのCPUラインを持つが、「エントリー向けやワークステーションはXeon、データベースやBI、ERPはItanium 2と互いに補完する位置づけ」とした。


米Microsoft デベロッパー&プラットフォームエバンジェリズムグループ テクニカルエバンジェリスト マーク・フランクス氏
 続いて講演を行ったフランクス氏はまず、「64ビットであることは、開発者とITプロ、どちらにもビジネスメリットがある」とした。32ビットの4GBに比べ、64ビット環境ではメモリ上限が拡張されたことで「データベースをはじめ、現在では多くのアプリケーションがディスクを使うようになっている。4GBでは難しい複雑なレンダリングなどをメモリに入れることで、パフォーマンス向上のメリットがある」とした。

 また「64ビット固有のAPIは数が限られ、環境ツールセットやコンパイラは同じ。メモリでの制約がないため、早く開発できる。Windowsに慣れていれば管理面でも新しい方法を学ぶ必要がない」と、開発・運用両面の利点を挙げ、さらに64ビット環境の導入メリットとして「スケールアップできること」を挙げた。

 アメリカの航空会社JetBlue Airlineは、航空業界が低迷するなかで業績を伸ばした数少ない企業。以前から操作マニュアルやフライトルートのブリーフィングなどをノートPCに格納してTCOを削減するなど、「テクノロジーにうるさい企業として定評がある」という。そのJetBlueでは、業績拡大に合わせてWindows Server 2003とSQL Server 2000のItanium版を導入し、「1時間に3万の読み書き処理を行っているにもかかわらず、CPU利用率が10%に抑えられている」という。


Windows Server 2003、.NET Framework(VS 2005)、SQL Servverの提供スケジュール
 このように既存システムから64ビットに移行することで、「秒間のトランザクションは約2倍になるため、例えば32ビットの8Wayサーバー2台を、64ビットの4Wayサーバー1台に減らすことも可能になる。サーバーの導入コストだけでなく、運用コスト、台数ベースのOSライセンス、CPU数ベースのSQLライセンスのコストも削減できる」とした。そこで問題となる移行のコストについても「SQL Serverはロジックのカット&ペーストで移行できる」と表現、数時間で移行できた事例もあるという。

 次に同氏はマイクロソフトがサポートしている2つの64ビット環境の違いについて触れた。まずItanium Processer Family(IPF)については、「EPICアーキテクチャに準拠し、よりスケーラビリティが高い」とし、もう一方のAMD64、IntelがXeonに実装予定のEM64Tを総称したx86互換の64ビット環境「x64」については、「32ビットアプリケーションをそのまま実行できるメリットがある」とした。そしてこの両者間ではバイナリ互換がない点を強調しながら、Windows Server 2003、.NET Framework(VS 2005)、SQL Serverでの製品提供スケジュールを示した。


サーバー市場での64ビットとWindowsシステムの拡大を予想した
 サーバー市場では、64ビットシステムが台数ベースでは全体の11%ながら、出荷金額では65%を占める点に触れた同氏は、「今後はHP RISCがItaniumに、Sun SPARCがOpteronに移行していく。Windowsが動かなかった部分でも対応が広がるだろう」とし、「またPentium 4でも64ビットがサポートされれば、台数ベースでも64ビットがメインストリームを占める」と述べた。

 64ビットサーバーの適用分野としては「データベースは明らかなターゲット」としたほか、「メールシステムはどこにでもあるインフラとして、サーバー集約ニーズが見込まれる」と述べた。またJPC分野について「64ビットをうまく生かす分野として今後拡大が見込めるため、大きな市場でないが重要と考えている」とした。このほかERPやCRMといったビジネスアプリケーション、ターミナルサーバーを用いたシステムなどを挙げた。

 最後に同氏は「Windowsカタログへの稼動認定アプリケーションの登録は無償となっている。広くカスタマーに互換性をアピールできるため、どんどん登録してほしい」と語った。



URL
  Microsoft Windows 64-bit Technology Tour 2004
  http://www.microsoft.com/japan/events/route64/default.mspx


( 岩崎 宰守 )
2004/06/23 00:00

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