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「紙のままの入力フォームでバックエンドと連携」アドビが提案するPDFの使い方


 アドビシステムズ株式会社は6月24日、米Adobe Systemsの2004年度第2四半期決算発表を受けて、同社の事業内容に関するプレス向けの説明会を行った。


アドビシステムズ株式会社 代表取締役社長 石井幹氏
 米Adobeが6月17日(米国時間)に発表した2004年度第2四半期決算では、売上高が4億1010万ドル(前年比28%増)、営業利益は1億4180万ドル(前年比54.9%増)、純利益は1億880万ドル(前年比70%増)と好調な内容となっている。ただ2004年度第1四半期と比較した場合には若干減少している。代表取締役社長の石井幹氏は、「Adobe Creative Suiteを第1四半期に発売したため。このほかAcrobatなどを中心に堅調な売上は続いている」との見方を示した。

 売上を地域別に見ると、「南北アメリカの比率が相対的に減っている」という。これと比較してヨーロッパ、アジアが拡大しており、日本は全体の約2割程度となっている。

 製品分野別にみると、Creative Suite発売の関係でIllustlator、Photoshop、InDesignなど出版・印刷やWeb制作者向けの製品が37%を占め、PDFを中心としたサーバー製品などが32%、コンシューマー向けの画像・映像関連が26%となっている。同氏は「最近アドビはCreative向け製品よりもIntelligent Documentに意欲的との声も聞くが、この比率を見てもわかるように今まで同様に重要と考えている」とした。

 同社が行っているR&Dへの投資は、2001年から増加を続けている。これにより「Intelligent Documentやサーバー製品といった、新しいビジネスの構築など、未来を担う基礎技術を戦略的に展開している」とした。


Adobeの発表した2004年第2四半期のワールドワイド売上高 売上げに占める製品分野別の割合 R&Dへの投資は、2001年から増加を続けている

Intelligent Document Platformのコンセプト
 同社のエンタープライズ向け事業では「カナダAccelioを2002年4月に買収し、複数のサーバー製品がラインアップされたことがキーになっている」とした。AccelioではXMLベースのビジネスプロセス管理システムを手がけており、これをPDFの機能として取り込むことで、同社のエンタープライズ向け製品の基礎が築かれたといえる。

 同社の2004年上半期の動きとしては、まず2月12日に「Intelligent Document Platform(IDP)」のコンセプトを発表している。これに関連して、PDFにアクセスコントロールの機能を付加する「Adobe Policy Server」、PDFや電子帳票をデザインする「Adobe Designer」を発表している。

 同氏はIDPの背景として「企業、官公庁の業務で紙の果たす役割は大きく、紙のドキュメントは今後も使われ続けるだろう。一方で文書の電子化も進み、この両方のやり取りが問題になる」とした。アメリカでの調査では、文書処理のミスが売上のうち12~15%に影響を与えているとし、さらにデータの再入力に年間15億ドルが費やされているとした。

 「現在のPDFは単に見栄えが印刷と同じだけではない」とした同氏は、紙に似たわかりやすいフォームを提示できる利点とともに、PDFが入力データの検証・管理・支援を行える点、バックエンドの基幹システムともXMLを介して連携する点を強調した。

 IDPは、このバックエンドとフロントエンドのPDFをつなぐ考え方といえる。アメリカですでに発表されている「Adobe Document Service」は、この間でサポートされる各種の機能を指しており、ドキュメントの動的生成、共同作業、プロセスコントロールなどが可能になる。同氏は「これによりさまざまな業務の展開が可能になる」とした。

 そして岡山県での電子申請の事例を取り上げ、「電子政府は国内でもホットな分野で、今後も力を入れていく」と語ったほか、「日本は製造業の比率が高く、技術ドキュメントでの需要も大きい」と述べた。


Adobe Policy Serverのシステム概念図
 Adobe Policy Serverは、このうちの1モジュールと位置づけられ、プレーンなPDFに対してユーザーごとに閲覧・印刷・変更といった操作の権限や有効期限を設定することで、アクセスコントロールを行うサーバー製品。ユーザー管理には既存のディレクトリサービスとも連携できる。

 これによりPDFの再配布をコントロールしたり、配布後にアクセス権の変更が可能となっている。例えば情報流出の懸念が起きれば、アクセス権を禁止することが可能だ。クライアント側ではAcrobat Readerさえあれば、エクステンション機能によりこうした各種機能が動作する。またPolicy Serverと通信してPDF利用履歴のログも保存できるため、監査などにも対応できるという。

 またPDFのバージョンコントロールも行える。新版発行後に旧版を開いた際にダイアログで通知もでき、コンテンツ管理システムとの連携にも対応しているという。

 ただこうしたIDP製品と比べた場合には、「通常のAcrobatの方が現状では売上が多い」という。またPDF生成ソフトウェアの低価格販売が広がっていることを受け、「PDFの全機能をサポートできるのはアドビだけと考えている」と述べた。そして同氏は「サーバー製品を生かすためには、ある程度ビジネスのトランザクション規模が必要」との見方も示した。

 米AdobeではERPパッケージベンダーの独SAPとグローバル提携しており、同社インテリジェンスドキュメント部長の市川孝氏によれば「NetWeaver04には、アドビのPDFフォームテクノロジーがすでにビルドインされている」という。このことから「今後は、SAPにPDFが組み込まれ、ユーザーインターフェイスがPDFになっていく。これはかなり速い速度で進行すると考えている」とした。

 こうした用途でWebフォームと比べた場合の優位点としては「Adobe Reader Extentionのみで認証でき、電子申請で多く見られる書類添付にもPDF単体で対応する」点を挙げた。また「CDでも配布が可能で、オフラインで記入できる点も記述箇所が多い場合にメリットになる」とした。



URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.co.jp/
  プレスリリース(2004年度第2四半期決算発表)
  http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200406/20040624Q2earnings.html
  Adobe Intelligent Document Platform
  http://www.adobe.co.jp/enterprise/idp.html


( 岩崎 宰守 )
2004/06/25 12:33

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