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「すべての機能やサービスの統合を目指す」上級副社長が語る米Ciscoの戦略

~NetWorld+Interop 2004 Tokyo 基調講演

 6月28日から7月2日まで千葉県の幕張メッセで開催されている「NetWorld+Interop 2004 Tokyo」において6月30日、米Cisco Systemsの上級副社長 兼 ルーティングテクノロジーグループジェネラルマネージャーのマイク・ボルピ氏が「進化するネットワークとそのインパクト~次世代ネットワークとコンバージェンスのあり方とは~」と題した基調講演を行った。


米Cisco Systems 上級副社長 兼 ルーティングテクノロジーグループジェネラルマネージャー マイク・ボルピ氏

3つの「コンバージェンス」

IP/MPLSのイメージ
 まずボルピ氏は、VoIPやデータ通信などの新しい通信サービスを提供するサービスプロバイダー(以下、SP)やキャリアがしのぎをけずる中、電話をはじめとした従来のサービスを提供している事業者の収益が下がりはじめていることを挙げ「通信業界に変革が起こっている」と現状を語った。

 従来の電話は、通信を行う距離や時間によって価格が変動し通信事業者は収益を得ていた。しかしインターネット、特にブロードバンドを基盤としたサービスは固定料金が基本であり、かつてのような方法では利益をあげることが難しい。また、価値の高いサービスをシンプルな形で提供する、顧客の満足度の維持する、数々の規制の把握と対策といった、これまでの通信事業者にはなかったいくつもの課題がSPやキャリアに課されている、とボルピ氏は説明する。

 これらに対するボルピ氏が出したキーワードが「コンバージェンス」つまり、収束・統合だ。ボルピ氏は今後のテーマとして(1)ATMやフレームリレーといった非IPの通信方式を「IP/MPLS(Multi Protocol Label Switching)」に統合する「ネットワークの収束」、(2)複数のサービスに連携や継続性を持たせる「サービスの収束」、(3)複数のアプリケーションやサービスを統合し新たな価値を持たせる「アプリケーションの収束」が重要とした。

 また今後はサービスレベルの保証も重要となる。元来、インターネットは電話と違ってベストエフォート型が主流だったが、「ビジネスなどではセキュリティを含めたサービスレベルやクオリティが一定でなければならない。また、将来どんなアプリケーションが出てくるかわからないため、キャパシティを変動できる体制で備える必要がある」(ボルピ氏)

 これらの事項を念頭にCiscoでは、同社自身でのチップの製造やソフトウェア開発を中心に年間34億ドルをR&Dにつぎ込んできたという。そしてその集大成として「10年間使い続けることができる」という「Cisco CRS-1」と、それに搭載される「IOS XR」を米国では5月、日本でも6月29日に発表した。さらにボルピ氏は、ファイアウォールやIDSといったセキュリティ、IP電話のPBX、Webキャッシングなどの機能やサービスが、すべてルーターの中に納められ「もはやルーターとは言えない一つのプラットフォーム」がサービスレベルの向上、管理の簡素化を実現するとし、今後の同社の方向性を示した。

 最後にボルピ氏は、日本が米国などに比べブロードバンド化が進んでいることを挙げ、「日本で起こっているトレンドが世界に広がる傾向がある」「Cisco CRS-1も現在のところ日本市場向け製品かもしれない」と同社における日本市場の重要性を強調した。そして「ブロードバンドを生かす、日本独特のリッチでエキサイティングなアプリケーションが生まれることを期待したい」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  米Cisco Systems
  http://www.cisco.com/

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( 朝夷 剛士 )
2004/06/30 20:47

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