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ケータイからバックエンドまで包括ソリューションで法人市場を狙うNokia
NetWorld+Interop 2004 Tokyoで講演を行うため来日中の、Nokiaエンタープライズ・ソリューションズ上級副社長 兼 ジェネラルマネージャー メアリー・T・マクドウェル氏は7月1日、講演に先立って行われた記者会見で、フロントエンドのモバイル端末からバックエンドのセキュリティアプライアンスまでの包括的な製品群を武器に、ビジネスのモバイル化を進める「ビジネス・モビリティ戦略」を展開する考えを示した。
Nokia エンタープライズ・ソリューションズ上級副社長 兼 ジェネラルマネージャー メアリー・T・マクドウェル氏
Nokiaのビジネス向けモバイル端末
Nokiaのセキュリティアプライアンス
同社は2004年1月よりワールドワイドで「エンタープライズ・ソリューションズ事業部」を設立しファイアウォールやVPN製品の展開を本格化、世界シェア1位の携帯電話事業と組み合わせ、業務のモバイル化を提唱している。これに向け、特にモバイルの利用で必須とされるセキュリティ機能の充実や、IBM・SAP・Oracleなどのソフトウェアベンダーらと協業し業務アプリケーションをPDAや携帯電話などで利用できるソリューションの開発などに注力している。
マクドウェル氏は、現在のところビジネス分野におけるモバイル利用は一部のハイエンドユーザー約5%程度にすぎない点を指摘し、「10年前にPCが導入され始めた時期と似ており、製品やサポートに統一性がなくリスクが大きいのが現状」と分析する。そこで、最低限の標準を確立した上で、経営者・ユーザー・IT管理者それぞれにモバイル化のメリット、シンプルで直感的な操作性、セキュリティの充実を訴えていかなくてはならないと、今後の課題を示した。
欧米ではビジネス向けモバイル機器として「NOKIA 9210i」などPDAやメッセージング機能を搭載した携帯端末を展開し一定のシェアを確保、米国では電話機能を持たないSonyのPDA「CLIE」を事業撤退に追い込んだ。しかし日本では、カメラをはじめとした携帯電話の高機能化が進んでいるものの、PDAなどビジネス用途の機能を搭載した端末はほとんどない。ノキア・ジャパン エンタープライズ・ソリューションズ カントリー・ジェネラルマネージャーの柳下幹生氏は「日本で3G化が進むにつれ(多様な用途に対応するため)法人ユーザーの需要が高まり、我々が入り込める余地はある」としているが、ボーダフォンなどのパートナーとともに、欧米で作った流れをどこまで日本に持ち込めるかが課題となる。
インフラ部分のセキュリティ製品は、ローエンドから6月に発表したハイエンドの「Nokia IP2250」まで10種類をラインアップ、またそれぞれに対応する最新のOS「IPSO V3.8」をリリースした。今後、業務アプリケーションのモバイル対応が進み、オフィス外でも支障なく利用できるとなれば、“ノキアの”セキュリティ製品としての強みが生かされ、他社との差別化を図ることができる。
スタートしたばかりのエンタープライズ・ソリューションズ事業部の売上は、2004年の第1四半期で全体の5%にすぎないが「昨年に比べ3ケタの成長があった」とマクドウェル氏は事業展開が順調であることを強調する。携帯電話事業に匹敵する人員を配した同事業部は、2005年度中には黒字化を目指すとのことだ。
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URL
ノキア・ジャパン株式会社
http://www.nokia.co.jp/
プレスリリース
http://www.nokia.co.jp/company/release_040701_03.html
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