6月28日から7月2日まで幕張メッセで開催されている「NetWorld+Interop 2004 Tokyo」において7月1日、「ネットワークがビジネスチャンスを生み出す ~スイッチングテクノロジーの未来像~」と題して、米Extreme Networks 社長兼CEOのゴードン・スティット氏が基調講演を行った。
■ イノベーションとは、日本の自動車?
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米Extreme Networks 社長兼CEOのゴードン・スティット氏
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スティット氏はまず、「イノベーション」という言葉についてその意味を説明した。スティット氏によれば、「イノベーションとはビジネスを成功裏に進めていくために大きな変化を提供するもの。増分的な小さなものではない」とのことで、同氏は具体的なその例として日本の自動車産業を示す。「自動車を変えただけではなく、製造(そのもの)も変えてしまった。大幅に値段を下げ、燃料効率を上げ、顧客に選択肢を提供し、またロボットによる組み立てやカンバン方式の在庫管理を導入した」。
では、ネットワークの場合はどうなのだろうか。「これからはサポートしなくてはならないデバイスの数は増えていくだろうし、アプリケーションも早く導入できなければ競争力が保てない。音声、ビデオなど数多くのアプリケーションが登場してくるが、これらを管理しなくてはならなくなる」と述べたスティット氏は、これからのネットワークに関しても、イノベーションは重要なファクターであると主張する。
■ レイヤ3スイッチでEthernetの“イノベーション”を提供
もちろん、過去にもイノベーションはあった。スティット氏は、Extreme Networksこそがそれを提供し続けてきたベンダであるとした上で、その例として「1995年当時、一般的にはATMが統合ネットワークとなり得るものと考えられており、当時のEthernetは部門内のLANテクノロジーとしてとらえられているに過ぎなかった。しかし当社では従来の考え方を超え、音声、ビデオ、データを統合できる唯一のものはEthernetであると考え、その製品を提供してきたのだ。今ではそのEthernetが標準になり、ATMはレガシーになった」と語り、同社の方向性の正しさを語った。
さらに同氏は、「Ethernet革新は当社のレイヤ3スイッチによってもたらされた。過去、企業内のトラフィックが膨大になったとき、ベンダはルータのパケット処理を高速化しようと試み、また企業のIT部門は新しい製品を購入し、それぞれ状況に対処しようとしたが、ますます増えるトラフィックにはすぐついていけなくなった。しかし、当社ではそれまで年間20%の速度向上しか見られなかったルータに代わり、速度を1000%向上させ、しかも価格の安いレイヤ3スイッチを投入し、はじめてEthernetポートを100万以上出荷したベンダとなった」と続け、“イノベーション”を提供してきた実績にふれた。
■ 次のイノベーションを提供するXOS
こうした過去の話に加え、未来に対しても同社は明確な“イノベーション”に対するビジョンを持っているという。「これからはPCの増加に加え、PDAや携帯電話などが入ってきて、爆発的にネットワーク上のデバイスが増える。また、アプリケーションもビデオ、ネットワークストレージ、CRMなど多種多様なものに対応しないといけない。これらはそれぞれ特有のニーズを持っており、たとえばリアルタイム性や帯域、99.999%の可用性、などが求められるようになる。」と将来の状況について語った後、こうした状況をふまえると、ネットワークには、新しいユーザーに、迅速に、コスト効率よく対応することが求められるだろう、とした。
そして、このニーズに応えるためにExtreme Networksが用意しているもの、それが新しいOSの「XOS」だ、とスティット氏は強調するのである。XOSは、同社のハイエンドスイッチ「BlackDiamond 10k」などに用いられている、UNIXベースの新しいOSだ。これはモジュラー構造を採用しているのだが、「これがなぜ大事なのかというと、モジュラー構造を採用していれば、1モジュールに障害が発生したとしても、ほかに影響を及ぼさないし、ITマネージャが独自にモジュールを作成して機能を追加したり、ヘルスチェックモジュールによってほかの動作状況を(OS自身が)チェックしたり、ということもできる。新しいデバイスへの対応も容易だし、IPv6やVPNといった新しいアプリケーションの機能も簡単に追加可能だ」とその長所をスティット氏は解説した。
加えて、「BlackDiamond 10kとXOSではネットワークのモニタリング機能も提供している。異常を探すプログラムを構築し、あやしい活動を検知し、データを元に脅威があるかどうかを判定するのだが、こうした作業で、自動化されたネットワークとアプリケーションのやり取りを提供できる。今は人がネットワークを管理しているが、ヒューマンエラーなどが起こりやすい。しかし、XOSははじめてアプリケーションやネットワークがそれ自身を管理できるようにしており、人間はその分リソースをほかに割けるだろう」とし、管理面での負担軽減でもメリットがあるとも主張している。
最後に、「こうしたXOSをさまざまなベンダが支持してくれているのはありがたい限り」と述べた同氏は、「新しい競争力のあるものを企業に提供する。安定性、冗長性、拡張性が必要なところに、そうしたものを提供できる唯一のベンダが当社だ。企業のネットワークは劇的な変化をとげていく。その中で真に革新的なソリューション、イノベーションが必要となっていくだろう」と述べ、講演を締めくくった。
■ URL
米Extreme Networks
http://www.extremenetworks.com/
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