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実装の進むJava標準のUI開発フレームワーク「JSF」

J2EEカンファレンス

 7月14日都内において、日経BP Javaプロジェクト(以下Javaプロジェクト)が主催する「第4回 J2EEカンファレンス」が開催された。その中で「Webアプリケーションの革新-JSFとEoDツール」と題し、日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア開発研究所 WebSphereツールの若尾正樹氏と、サン・マイクロシステムズ株式会社 ソリューション・システム技術本部 ソフトウェア・ソリューション・グループの藤井彰人氏をパネリストに、Javaプロジェクト星暁雄氏をコーディネーターとするパネルディスカッションが行われた。


サン・マイクロシステムズ株式会社 ソリューション・システム技術本部 ソフトウェア・ソリューション・グループ 藤井彰人氏

日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア開発研究所 WebSphereツール 若尾正樹氏
 最近Javaの世界ではEoD(Ease Of Development)が重要なコンセプトとなっている。Javaの開発は難しいというイメージは根強い。しかし企業の基幹システムなど大規模プロジェクトをJ2EE上で実現するためには、さまざまなスキルレベルの技術者をプロジェクトに投入しなければならない。誰もが簡単にJavaのプログラムを開発するためには、技術者をサポートするツールと、EoDを支えるフレームワークが重要となる。

 JSF(Java Server Faces)とは、Webアプリケーションのユーザーインターフェイスを構築するためのフレームワークである。若尾氏は「JSFとは?」という質問に対して、「J2EEにおける標準サーバーサイドGUIコンポーネントフレームワークであり、MVCモデルのフレームワークです」と答えている。藤井氏は「MVCモデルのフレームワークとしてJSFはStrutsと比較されることも多いですが、重要なのは“標準”であることと“コンポーネント化”です」と語り、JSFが標準化された技術であることを強調した。

 このディスカッション中、パネリストの両氏はJSFによる開発のデモをそれぞれ行った。両社のツールは操作性などが異なるものの、UIコンポーネントの配置、データソースの指定などにおいては、コードを意識することなく開発できる点は共通している。

 EoDツールのプログラムは規模が大きいためリソースを必要とする上に、JSFを利用することで開発の自由度は下がるのも事実である。しかし、ツールが生成するJavaのコードをもとにして、さらに詳細に開発していくことも可能だ。もちろん「この程度で十分」と割り切れるのであれば、より低コストにアプリケーションを開発できる。


開発中の「Sun Java Studio Creator日本語版」の画面

既にJSFに対応する「IBM WebSphere Studio」の画面
 藤井氏がデモで使用したツールは、今年の夏に発売が予定されている「Sun Java Studio Creator」の日本語版。米サンフランシスコで6月28日から開催された「2004 JavaOne Conference」で英語版が発表されているが、日本語版については大きなイベントでの公開は今回が初めてとなる。

 サンの開発ツールがJSFに正式に対応するのは、Java Studio Creatorからのため、現状では未対応といえる。一方、若尾氏の使用したIBM WebSphere Studioは、発売されている現行のバージョンですでにJSFに対応している。両社のアプリケーションサーバー製品を見ると、Sun Java SystemがJSFに対応しているのに対し、WebSphereではJSFアプリケーションの実行はサポートしているが、JSFのランタイムは含まれていない。

 そのため星氏は「サンのサーバー上で動くアプリを、WebSphere Studioで作成するなら現状でも問題ないですね」と笑いながら語った。最後に星氏は「JSFはすでに実用的に使えるところまできています。これからはJSFに移行してもいいのではないでしょうか」と締めくくった。




URL
  J2EEカンファレンス
  http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/J2EE0714/
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  Sun Java Studio Creator Early Access(英文)
  http://wwws.sun.com/software/products/jscreator/index.html
  IBM WebSphere Studio
  http://www-6.ibm.com/jp/software/websphere/studio/

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( 北原 静香 )
2004/07/15 17:38

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