日本ヒューレット・パッカード株式会社は7月20日、事業活動や社内の組織体系をユーザーセグメント別に合わせて刷新するなど、今後の新たな事業戦略を発表した。
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代表取締役社長 樋口泰行氏
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5月からの新組織体系
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日本HP社内でのアダプティブ・エンタープライズへの取り組み
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同社は今後ターゲットとするユーザーを「エンタープライズ・公共」「中小・中堅企業」「コンシューマ」の3種類に分類。新組織は、ハードウェア・ソフトウェア・サービスを含めた企業向けソリューションをトータルで扱う「テクノロジー・ソリューション事業統括部」、PC・ワークステーションを扱う「パーソナルシステムズ事業統括部」、プリンタを扱う「イメージング・プリンティング事業統括部」を新たに結成し、5月より活動を開始している。
この中で企業ユーザーの中心となるエンタープライズ・公共に対しては、同社が推進する「アダプティブ・エンタープライズ戦略」のさらなる強化を図る。代表取締役社長の樋口泰行氏は、アダプティブ・エンタープライズを「ITを駆使し変化の激しいビジネスに追従できる企業になること」と説明。さらに「以前はコスト削減がユーザーの最優先事項だったが、最近は投資効果の高いオープンシステムによる柔軟なシステムを求めるユーザーが増えてきた」と同社のコンセプトが受け入れられつつあることを強調する。
同社は、2003年5月にアダプティブ・エンタープライズ戦略を発表から1年をかけて、社内教育を強化し専任のコンサルタントを300名育成したほか、13業種のユーザー企業に対してアダプティブエンタープライズの実現にむけた取り組みを行ってきたという。さらに自社においてもコンパックとの合併後、システム統合と合わせてITコストの削減や“攻め”のIT投資比率の増大を目指すなど、アダプティブ・エンタープライズの実現に向けた事例の一つとして取り組み、成果を挙げているとのこと。
そしてこれまでの取り組みを第一章とし、第二章ではスピーディなソリューション提供の実現に向け6チーム200人のタスクフォースチームを社長直結で編成、ユーザーに対しての提案型営業体制の強化を目的としたトレーニングを実施するなど「人の強化」を軸とした展開を行う。
中堅・中小企業などのSMB市場に対しては、「最新の機種を使いたい」「ITに詳しい人がいないので、全体の面倒をみてほしい」といった特有のニーズに対応し、IT導入支援コンセプト「スマートオフィス」に基づきSMB市場向け製品やインフラ、ソリューションの充実を目指す。
コンシューマ市場については「日本が世界のトレンドを先行している」とプリンタを中心にワールドワイドに展開する製品のリサーチを強化する方針を示したが、iPodのOEMなど具体的な製品展開については明言を避けた。
このほか、女性や障害者の登用や、教育など社会貢献活動への取り組みを強化しデジタルデバイドの解消に力を入れるなど、社会的責任を積極的に果たし「経常利益の1%を社会活動に投資する」考えを示した。
「合併により、HPはより強くなった」と強調する樋口氏は中長期の売上目標についても言及。2003年度の3700億円から「2006年に5000億円、2010年には1兆円企業を目指したい」と意気込みを語った。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
ニュースリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2004/fy04-142.html
( 朝夷 剛士 )
2004/07/20 20:06
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