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三井物産、情報セキュリティ専門100%子会社を設立


 三井物産株式会社は、情報セキュリティ事業を専門とする100%子会社「三井物産セキュアディレクション株式会社(以下、MBSD)」を7月9日付で設立し、7月22日に記者発表を行った。

 MBSDでは、三井物産でセキュリティ関連事業を手がけていた情報産業本部 セキュリティビジネス室の事業と、約50名の人員をそのまま引き継ぎ、室長を務めていた野村一洋氏が代表取締役社長に就任する。資本金は4億8000万円で、全額三井物産が出資する。業務の開始は8月2日からとなる。

 三井物産では2001年10月から情報セキュリティ事業に進出し、これまでにマルチベンダーのセキュリティ機器を用いた24時間監視サービスや、国内初のWebアプリケーション脆弱性検査サービス、またパートナーであるネクストコムと提携したSSL-VPNマネージドサービスなどを提供してきた。


三井物産セキュアディレクション株式会社 代表取締役社長 野村一洋氏

提供するサービスの内容と提携先企業

先進的なテクノロジーを持つパートナー企業との提携を軸にしたMBSDのビジネスモデル
 MBSD 代表取締役社長の野村一洋氏は、「情報セキュリティへの対策をしないと企業価値が高められない時代になりつつある」とし、今後は情報セキュリティ関連市場が拡大していくとの考えを述べた。そして企業向けの情報セキュリティ事業に求められていることとして、日々変化し続ける脅威に対応できる専門性と、サービスを提供し続ける継続性を挙げた。また「事業を手がけるにあたっては、後発であることを意識し、高品質なサービスを提供するため外部から優秀な人材を雇用してきた」とした。

 このほか新会社設立にいたった理由として、「新サービスを提供するにも、社内プロセスを経るのに時間を要していた」点、そして商社である三井物産の1部門でしかなかったことからくる、市場へのコミットを挙げ、「新会社では、高品質で付加価値の高いサービスを継続提供し、顧客企業の価値を高めることを目標としたい」と語った。

 提供する製品・サービスについては現段階ではこれまでと変更はないが、「情報漏えい対策サービスの提供内容は不十分と考えており、新たなサービスを提供していきたい」とした。またWebアプリケーション脆弱性検査サービスで培ったナレッジベースを、開発SI向けに提供するサービスなども手がける予定とのこと。さらに不正アクセス監視サービスについても、今後拡充の予定があるという。

 三井物産 情報産業本部 セキュリティビジネス室では、年間約35億円前後を売り上げていたが、今後もSIなどのパートナー企業を通じて、三井物産グループ各社や一般企業向けに販売を行い、2008年には100億円の売上げを目指す。また現在ではシステム運用などの継続的なサービス提供が売上げの6割を占めているが、「今後はソリューションやソフトウェアライセンスの販売にも力を入れていく」という。

 三井物産 情報産業本部 インフォメーション・セキュリティ事業戦略担当部長の三浦正晶氏は「新規事業については確認をとってから外に出していくのが三井物産の姿勢」と述べ、今回の新会社設立が充分な準備を経たものであるとした。そして「今後はベンダーニュートラルな企業としてのポジションを築いていきたい」とした。



URL
  三井物産株式会社
  http://www.mitsui.co.jp/
  三井物産セキュアディレクション株式会社
  http://www.mbsd.jp/
  三井物産株式会社 セキュリティビジネス室
  http://www.mitsui-security.com/

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( 岩崎 宰守 )
2004/07/22 16:31

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