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EMCジャパン、企業買収に伴うソフトウェア事業戦略を発表


 EMCジャパン株式会社は7月22日、一連の企業買収に伴うソフトウェア事業戦略に関する記者説明会を開催した。


米EMC EMCソフトウェア・グループ上席副社長 マーク・S・ルイス氏

IMLを実現するEMCソフトウェアのラインアップ
 米EMCでは、情報ライフサイクル管理(ILM:Information Lifecycle Management)の市場規模が2004年にも460億ドルに達すると見ている。そしてILMの強化を目的に2003年7月には、異機種混在環境でのストレージ管理ソフトウェアベンダーである米LEGATO Systemsを、また2003年10月には、文書、画像、マルチメディア、PDFといった非構造化データを管理するコンテンツ管理ソフトウェアベンダー米Documentumとの買収を相次いで発表していた。EMCではこれに伴い、同社ソフトウェア部門と買収した両社をひとつにした新組織「EMCソフトウェア・グループ」を発足する組織改編を6月に行っている。

 この新組織の総責任者で、米EMC上席副社長のマーク・S・ルイス氏は、「ストレージリソースを極大化し、コストを極小化するデータの保護、リカバリやバックアップ、レプリケーションといった技術の多くは、米LEGATO Systemsの買収により獲得した」とした。またILMで重要となる技術として、データを動的に移動し、適切に配置する技術を挙げ、「これがアプリケーションと結合したコンテンツ管理が、ILMの実現には欠かせない」と述べた。

 また2003年12月に買収を発表した米VMwareに関しては、EMCソフトウェアグループでは統括せず、子会社としての事業展開がなされる。この点については「VMwareは多くのサプライヤーと提携関係があり、独立性を維持する必要性があった」とした。

 EMCソフトウェア・グループ全体では15億ドル相当の売上規模となり、「ソフトウェア企業としては世界トップ10」だという。また「2年前までは売上の80~90%はハードウェアが占めていたが、現在ではソフトウェア、サービスが半分以上となっている」とのことだ。また現在はアメリカでの売上比率が全体の55~60%程度を占めているが、「今後はヨーロッパ、アジア太平洋地域での売上比率が全体の50%以上を上回るようにしたい」とした。


SAN環境に追加導入するアプライアンスベースの「EMCストレージルータ」
 同氏はILMにおける今後のキーテクノロジーとして、ストレージの機能とコンプライアンスなどのビジネス要件のギャップを埋めること、そして無停止運用を挙げた。

 無停止運用については、SANベースのコントローラアプライアンスである「EMCストレージルータ」により、ストレージを仮想化することで実現するという。

 EMCストレージルータでは、インテリジェントポートを利用することで、制御とデータの経路を分離するため、遅延や帯域幅の問題を発生させず、パフォーマンスに影響を与えない。また「ディスクアレイの中の機能を変更するのではなく、あくまで付加的なテクノロジーのため」拡張性も備えるほか、マルチベンダーのストレージシステムをサポートするという。

 「通常のインバウンド型のSAN環境では、ディスクアレイのコントローラ制御をSAN環境に混在させるのと同じで、データロスも発生する」とした同氏は、EMCストレージルータにより、OSやアプリケーションが連続稼動するアクティブなボリュームを、別のディスクアレイへ動的に移行できることから、「ダウンタイムをなくし、障害を予知した時点でシステムを入れ替えることもできる」とそのメリットを挙げた。


コンテンツ生成により生成されるメタデータの例
 同氏は続いてILMにおいて重要としたコンテンツ管理の技術について語った。「コンテンツデータが生成されると、ファイルネームやファイルサイズ、タイムスタンプといった基本的なメタデータが生成される」とし、「このほかに作成者やアクセスコントロール、プロセス、コンプライアンスといったさまざまなメタデータをデータに付与することで、これに基づいてデータを体系的に管理できるようになる」とした。

 こうしたメタデータは統合レポジトリで管理され、データはディスクアレイ上に展開される。同氏は「近い将来には、メタデータを活用して、ビジネス要件に基づいたポリシー設定により、データをパフォーマンスやプロセスの異なる最適なストレージシステムに配置可能になる」とした。また「情報の価値は時間経過とともに変化する。長期間アクセスのないデータを、必要に応じて再配置することもできるだろう」と語った。また拠点間でプロジェクトを引き継ぐ際などに、「データの重要度、場所ごとのニーズに応じて、拠点間で移動することも可能になる」とした。


生成されたメタデータは、統合リポジトリで一元管理される ビジネス要件によりデータの配置先を最適化することも将来的には可能になる プロジェクト移動の際に、拠点間でデータも移動できるようになる


URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/

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( 岩崎 宰守 )
2004/07/22 20:42

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