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通信分野のサービス開発実行環境をオープン化する「JAIN」

~WIRELESS JAPAN 2004 JT4T特別セミナー

 7月21日から23日まで開催されている「WIRELESS JAPAN 2004」において7月23日、「JT4T特別セミナー ~次世代ワイヤレス&ブロードバンドサービスを支えるJava技術~」が開かれ、サン・マイクロシステムズ株式会社 システムアナリスト JTSP(Java Technology for Service Providers)Project Teamの五十嵐久理氏が「Service Delivery and JAIN Technology」と題した講演を行った。


サン・マイクロシステムズ株式会社 システムアナリスト JTSP Project Team 五十嵐久理氏

SDP導入前と導入後のコスト比較
 電話回線からブロードバンド、ユビキタスへとネットワークが進化していく中、通信分野においてもかつては不可能だったさまざまなサービスが実現できるインフラが整いつつある。そんな中、新しいサービスを開発・実行できるオープン環境へのニーズが高まりつつあると五十嵐氏は指摘する。

 従来、通信分野において新たなサービスの開発にはプラットフォーム・OS・ミドルウェアといった下位レイヤーから利用するものを選択し、さらに個別で複雑なインテグレーションが必要とするため膨大なコストがかかった。そこで、ある程度上のレベルまでのプラットフォームを「SDP(Service Delivery Platform)」として標準/共通化することでコストを低減するという流れが起きている。

 これに向けサンが提唱するのが「一説には300万人の開発者がいる、オープンで将来性のある」JavaベースのAPI群、「JAIN」だ。五十嵐氏は「Java開発者をサービスデリバリーの世界に巻き込む、通信の世界のアプリケーションを作るためのAPI」と説明する。

 サンではJAINの特徴を(1)1度書いてしまえばどこでも稼働できる「Write Once, Run Anywhere」、(2)プロトコルに特化せずさまざまなネットワークに対応する「Any Network」、(3)誰でもいつでも始められる「By Anyone」としている。五十嵐氏はこれに加えて「従来、通信の世界でのアプリケーション開発には閉塞(へいそく)感があった。JAINの目的はITと同様にオープンにしてさまざまな人に参加してもらうのが目的」と説明する。例えばハードウェアにおいても特別なものを必要とせずオープンプラットフォームを利用できるため「これまでITだけのものだった最新のテクノロジーをテレコムの世界でも最大限に活用できる」。ソフトウェアの開発環境も汎用的なJava統合開発ツールに機能追加することで利用可能だ。

 JAINに含まれるAPI群としては、通信分野のソフトウェアサービスを実現するアプリケーションの実行環境である「SLEE(Service Logic Execution Environment)」、SIP(Session Initiation Protocol)をJavaで操りセッションの確立や終了を行う「JAIN SIP」、「SIP for J2ME」などがある。

 なお、JAINはサンのWebサイトから入手が可能だ。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  米Sun Microsystems 「JAIN」
  http://java.sun.com/products/jain/
  WIRELESS JAPAN 2004
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/


( 朝夷 剛士 )
2004/07/23 17:42

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