日本電気株式会社は7月28日、2004年度第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比2.5%増の1兆561億円、営業利益は同37.3%増の165億円、税引前利益は同408.2%増の403億円、当期純利益は前年の7億円から、209億円へと黒字を伸ばした。
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日本電気株式会社 取締役常務 的井保夫氏
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日本電気株式会社 取締役常務の的井保夫氏は、「個別に見ていくと成長と停滞が混在してはいるが、全般には回復感が強く、ほぼ想定どおりの決算といえる」とした。しかし「楽観できる状況でなく、プロセス改革によるコスト改善などで目標を達成していきたい」と語った。
売上高を市場セグメント別に見ると、堅調な市場を背景に、ITソリューションが7%増、ネットワークソリューション3%増、エレクトロニクスデバイス9%増と、それぞれ増加に転じた。営業損益では、ITソリューションが137億円、ネットワークソリューションが109億円、エレクトロニクスデバイスが156億円の黒字となっている。
費用構造では、固定費用を抑えつつ出荷が伸びており、固定費比率は43%で順調に減少を続けている。一方変動費比率は56%で変わらず、「コストダウンのスピードアップが課題」とした。
同氏が回復の要因として挙げた生産プロセス改革によるコストダウンについては、「総資材費は2003~2004年度の2年間で30%以上削減できる見込み。パソコンや携帯電話のキーコンポーネントは集中購買により、また開発購買はサプライヤーとの協業でこれを実現している」とした。また生産プロセス全体の成果として、「国内生産拠点での徹底した生産革新などにより、この3年間に生産性は6倍向上した。また全国物流網の活用などにより、棚卸資産は10日の水準にまで半減した」という。また「コンシューマ向けPCの50%は中国から調達しており、これを70%程度にまでしていきたい」と述べた。
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事業セグメント別の売上高
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事業セグメント別の損益
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ITソリューション事業の売上高と損益状況
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ITソリューション事業の状況は、「IT投資の回復で、売上高、利益とも前年同期比で改善している」という。このうちSI/サービス事業は官公需・民需ともに好調で、一部大型案件などもあり、売上は前年同期比12.7%の増、営業利益は約80億円となった。だが「短納期、価格面での顧客要求は厳しく、予断は許さない状況」とした。
コンピュータ・プラットフォームは、オープンサーバー販売増や原価低減による増益で、約20億円の営業利益。またパソコンはこれで3期連続の黒字となり、原価低減に加え、新技術による先行がその要因となっている。このほかソフトウェアが約30億円の営業利益とのこと。
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ネットワークソリューション事業の売上高と損益状況
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ネットワークソリューション事業の状況は、全体でみると前年並み。ここではモバイルターミナルの売上高減少が目を引く。その要因は携帯電話端末で、出荷数が昨年の約410万台から約330万台へ減少している。
一方モバイルインフラがFOMAやパケット定額制の拡大により想定以上で好調だった。これと海外向けの携帯電話事業展開として中国の現地法人を再編、今年1年間に20機種投入して事業を拡大することで、モバイルターミナルの減少をカバーした格好だ。
またブロードバンド事業では、6月に発表したSIPサーバーのソリューションなどにより、安定的に拡大している。
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エレクトロンデバイス事業の売上高と損益状況
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エレクトロンデバイス事業では、半導体ソリューション事業の中核となるNECエレクトロニクスが売上高1,856億円、営業利益152億円となり、前年同期比で増収増益となるなど、前年同期比で9%増となった。そのほかカラー液晶や電子部品の事業でも、黒字化が定着している。
なお7月1日にはプラズマディスプレイ事業のパイオニア株式会社への譲渡も発表している。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2004/07/28 19:50
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