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富士通、四半期売上で3年ぶりに1兆円を回復、赤字幅は大幅縮小


 富士通株式会社は、2004年度第1四半期決算を発表した。売上高は、前年同期比7.4%増の1兆81億円で、3年ぶりに1兆円の大台を回復した。営業損益は前年同期に比べて335億円持ち直し43億円の赤字、経常損益は393億円改善のマイナス158億円、当期純損益は280億円増のマイナス118億円となった。


富士通株式会社 取締役専務 小倉正道氏
 売上高は、2003年6月に実施したフラッシュメモリ事業での事業再編などによる影響を除き、継続事業をベースにすると、前年同期比で13.8%の大幅増収。富士通株式会社 取締役専務 小倉正道氏は、「中国・アメリカ向けの輸出を中心に業績が回復するなど、おおむね好調に推移した」ことや、「デジタルAV機器をはじめとした個人消費の緩やかな拡大」をその要因に挙げた。

 また売上原価率は74.0%で前年同期比でマイナス0.5%ながら、販売費、一般管理費は2,600億円台、売上高比でも26.4%と前年同期比でマイナス4.1%と大幅に低下した。このため損益では依然マイナスながらも、決算公表以後で第1四半期としては赤字損失額がもっとも小さくなっている。

 同氏は「電子デバイス関連で予想を上回ったほかは、国内SIサービス部門でも、採算性の低下に歯止めがかかるなど年初計画どおりの見通し」と語った。一方で今後については「半導体ディスプレイの需給バランスの推移による価格下落や、アメリカでの金融引締めによる影響の懸念など、不透明感を内在している」としたものの、「全体としては、ほぼ年初の計画どおりの目標をキープしたい」と述べた。


 事業セグメント別に見ると、ソフトウェア・サービス事業の売上高は3,845億円で、前年同期比で0.3%の微増。うち国内は2,661億円と変化ないが、海外で1,183億円と0.9%上昇した。うちソリューション/SI事業は前年並みだが、インフラサービス事業でのイギリス・富士通サービスの政府系アウトソースビジネスをはじめとした大型案件が寄与している。

 ソフトウェア・サービス事業を営業利益でみると、109億円の損失。前年同期比でマイナス73億円となった。海外では利益を計上しているが、「国内では売上が期末に集中する関係で、例年通り第1四半期は低くなる」という。また価格激化の影響、新規市場の開拓やLinux開発への先行投資なども要因に挙げた。

 同社では6月から営業とSE一体化した組織体制の変更を行うなど、SIサービスでの採算性悪化への対策を行っている。仕様レベルが不明確、テスト後の仕様追加などにより採算性の悪化したプロジェクトについては、「プロジェクト管理をしっかりと行い、損益管理状況を厳しく見ているため、今期の数字は比較的は悪くなっている。しかし内在する損失が期末に出てくることは抑えたい。ある程度のリスクを見つつ、こうした動きを継続していく」とした。

 また「統合システム開発体系「SDAS」のプロジェクト適応率を今期は全体の1/3に、また今後2~3年で70~80%に持っていくことで、プロジェクトでの開発効率向上を図りたい」とした。

 プラットフォーム事業は、売上高3,594億円で15.1%の増。営業利益はマイナス70億円ながら、前年同期比で123億円の改善となった。需要拡大に伴う携帯電話基地局や光伝送装置といったインフラ面、またIT投資の復調を背景にした基幹システム向けのグローバルサーバー/UNIXサーバーなどのハードウェア系も増加した。パソコンは価格低下の影響で伸び悩んだものの、HDDやノートPCを中心に好調を維持し、2003年第2四半期以来、黒字を続けている。一方携帯電話端末は若干の赤字となった。

 今後は携帯電話端末の3G対応などにより、開発コストの増大が予想される。その対策としては、「富士通にはSymbian OSの強みがある。三菱との開発体制での協業に続く動きを、今後も継続していく」とした。

 電子デバイス事業は、売上高2,039億円、前年同期比25.4%と大幅な増収。4月に化合物半導体事業において住友電気工業株式会社との合弁を開始して持分法適用対象となったことと、2003年6月のフラッシュメモリ事業再編による減収の影響を除けば、45.0%とさらに高い伸びとなる。営業利益でも238億円と、前年同期比で300億円増加させ黒字に転じた。この要因としては、「携帯電話やデジタルAV機器向けのLSI、PDPといったキーコンポーネントの売上が大幅に増加した」点が挙げられた。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  2004年度(平成16年度) 第1四半期連結決算概要
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2004q1/


( 岩崎 宰守 )
2004/07/29 18:53

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