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日立、2004年度第1四半期は前年同期比で増収増益、黒字化を達成


執行役専務 グループ法務・コミュニケーション部門長 八丁地隆氏
 株式会社日立製作所は7月29日、2004年度第1四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比で9%増の2兆634億円で、前年同期は赤字だった営業利益、税引前利益、当期純利益が、それぞれ376億円、458億円、160億円の黒字に転換している。

 これらの数字は「2003年度決算時の今期予想をすべて上回る」状況(執行役専務でグループ法務・コミュニケーション部門長の八丁地隆氏)で推移しており、同氏は「日立では中期経営計画i.e.HITACHIプランIIの達成に向けてグループをあげて取り組んでおり、好調を維持できるようにしたい」とした。

 事業セグメント別の売上高を見ると、「デジタル家電市場の好調に支えられた」(八丁地氏)電子デバイス部門が前年同期比22%、デジタルメディア・民生機器部門が13%、高機能材料部門が19%の高い伸びを見せた。また情報システム部門が前年同期比7%、電力・産業システム部門も5%、それぞれ増えているが、一方で物流およびサービス他部門が5%、金融サービス部門が3%、それぞれ減少。営業利益は電力・産業システム部門で61億円の赤字を出しているものの、それ以外は増益で黒字になっている。

 セグメントを個別に見た場合、情報通信システム事業の売上高は前年同期比7%増の4804億円、前年同期は267億円の赤字だった営業利益が56億円の黒字へと転換し、増収増益となった。

 このうちソフト/サービスは、JP1などのミドルウェア、アウトソーシング、金融機関向けのSIサービスなどが堅調に推移したものの、メインフレーム需要の低下による基本ソフトの減少、SE単価の下落傾向などのマイナス要因により、減収減益で赤字に転落。一方、ハードではHDD事業、金融機関向けのATM、3Gデータ通信用の基地局などが好調に推移していたという。

 内訳は、ソフト/サービスの売上高はほぼ前年同期並みの1866億円、ハードが前年同期比14%増、2938億円。さらにハードのうち、ストレージが前年同期比18%増の1528億円、サーバーが28%減の205億円、PCが2%増の300億円、通信ネットワークが18%増の349億円となっている。

 なお、HDD事業単体では、売上高が前年同期比46%増の1126億円、前年同期144億円の赤字だった営業利益が70億円の黒字となった。

 電子デバイス部門では、売上高が前年同期比22%増の3378億円、営業利益がマイナス69億円から回復して163億円の黒字となった。これは、「携帯電話向けのQVGA液晶、平面テレビ向けの大型TFT液晶などディスプレイ事業の好調、日立ハイテク電子エンジニアリングとの統合効果」(八丁地氏)などによるもの。

 電力・産業システム部門では、売上高こそ前年同期比5%増の5179億円となったが、国内電力会社向けの発電プラント案件減少に加え、国内環境プラントでの追加作業による負担などにより、営業損益は29億円の黒字から61億円の赤字に転落した。

 デジタルメディア・民生機器部門では、プラズマテレビ、日立LGストレージの光ストレージなどが伸びたほか、白物家電でも好調に推移しているものがあり、売上高は前年同期比13%増の3334億円、営業利益は4億円の赤字から回復し52億円の黒字となった。


 このほか、高機能材料部門では売上高が前年同期比19%増の3638億円、営業利益が316%増の183億円、物流およびサービス他部門では売上高が5%減の2926億円、営業利益がマイナス30億円から45億円回復して15億円、金融サービス部門では売上高が3%減の1290億円、営業利益が19%増の49億円。

 なお、今四半期は予想を上回る好調であったものの、「第2四半期以降はIT、デジタルコンシューマ関連の市況の悪化、競争激化などが一部懸念されている」(八丁地氏)ため、中間期の業績見通しは2003年度決算発表時と変わらず、売上高は4兆1500億円、営業利益900億円、当期純利益250億円を目標として運営をすすめていくとしている。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2004/07/0729.html


( 石井 一志 )
2004/07/29 20:36

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