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サンが提唱する「真のe-Japan実現シナリオ」


 サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)は8月3日、記者向けセミナーの中で日本政府のe-Japan戦略に対する同社の取り組みを説明した。


e-Japan営業開発本部 本部長 中村彰二朗氏

コストの構造改革とサービス指向へのシフト
 e-Japan戦略ではブロードバンド回線の普及や電子政府・電子自治体を目指し、2005年には世界最先端のIT国家にすることを目標としており、現在ではブロードバンド品質と低コスト化の面で世界1位、IT投資額は米国に次いで2位、政府・自治体業務や行政手続きのオンライン化も徐々に進行している。その一方で「レガシーシステムの保守に対する投資が膨大なことや、ソフトウェア開発などの人材を中国やインドなどに求める傾向があるといった問題があるのが実態」とe-Japan営業開発本部 本部長の中村彰二朗氏は指摘する。

 WebサービスやRFIDなどe-Japanを支える技術は整いつつある。しかし既存システムの維持に対する投資の大半を占めている状況では、これらの開発に資金がまわらない。そのためにまずは「レガシーを壊して」オープン化を進めることで維持コストが占める割合を減らし、その分を新たなサービスに回す「サービス指向へのシフト」が求められる。また、大手ベンダー1社による“かかえこみ”やIT担当者の属人性を排除し、地方のソフトハウスやSIerにも参入機会を与えるために、技術のオープン/共通化やユーザーのためのEA(エンタープライズアーキテクチャ)が必要だと中村氏は説明する。

 サンではJ2EEを共通基盤とする地域データセンター上で地方自治体らが利用するアプリケーションを各地域のSIerやソフトハウスが構築する地方分権型モデルを提唱。これにデータベースやアプリケーションサーバーなどの技術を提供し「地域の入札には参加しない」(中村氏)という「オープン・スタンダード・コンソーシアム(OSC)」をオラクルやBEA、SAPらと結成した。入札に参加しないというのは「地域の人材育成のためには、そこに仕事をまわす必要がある」からで、同社は全国6カ所に「Javaテクノロジーセンター」を運営し開発者の育成にも取り組んでいる。サンとしては地域データセンターやベンダーらの開発に必要とされるハード・ソフト・サービスを提供することで収益を確保するという。


地方活性化に向けた電子自治体構築のイメージ(1) 地方活性化に向けた電子自治体構築のイメージ(2)

常務取締役 営業統括本部長 末次朝彦氏
 また中村氏は、シン・クライアント端末「Sun Ray」を自治体らに提案していく考えを示した。シン・クライアントとは、端末にデータを一切置かずサーバー側で集中管理し、どの端末からでもJavaカードによって認証を行ってそれぞれのデスクトップを呼び出せるもの。端末からUSBメモリなど外部記憶メディアによる持ち出しを防げることや、個人認証機能、「Trusted OS」によるサーバーの堅牢性など、昨今注目されている情報漏えい対策においてPCよりも優位性を持つ。また、StarSuiteなど一般業務で必要とされるアプリケーションがそろってきたことから、セキュアで管理コストを削減できるクライアント端末として提案していく考えだ。

 常務取締役 営業統括本部長の末次朝彦氏は、サンの3つの戦略である(1)コスト削減と複雑性の排除(2)ネットワークサービスの実現(3)機密性を確保した機動性が「e-Japan戦略と合致する」とし、さらに複数のプラットフォームに対応するJavaやSolarisが電子政府の基盤として最適と主張。地域データセンターの構築については「受注をとれるものなら全部とってみたい」と意欲を見せた。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/

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( 朝夷 剛士 )
2004/08/03 19:01

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