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インテル、ツインリンクもてぎのレース映像ライブ配信システムを公開

コンシューマユーザーにモバイルコンピューティングの利便性を提案

ツインリンクもてぎ
 インテル株式会社は、栃木県茂木町のサーキット「ツインリンクもてぎ」にて展開中の、レース映像や順位などの情報を無線LANで配信するサービス「Pit Live TV powered by Intel(以下、Pit Live TV)」のシステムを報道陣向けに公開した。

 Pit Live TVは、屋外の観客席などレースの現況を知る手段が限られる場所に、無線LANを利用してレース映像や刻々と変わる順位をリアルタイムで配信するサービスで、2004年4月に開催された「インディジャパン2004」から開始されている。観客は無線LANが利用できるノートPCやPDAを持ち込むことで無償で利用できる。


Xeonベースのレース映像配信サーバー
 インテルは映像の配信サーバーや無線LANなど、主にハードウェア技術を提供しており、映像や順位の配信サーバーがXeon、WebサーバーがItanium 2ベースで構成している。受信はCentrino対応のノートPCが推奨されているが、IEEE 802.11b/gの無線LANを利用できる環境であれば可能。なお、インターネットには接続されていないため、外部のWebサイトを閲覧することなどはできない。

 レース映像は500KB/sの高画質映像と、250KB/sのノーマル映像がWMT(Windows Media Technology)形式で配信され、Windows Media Playerで視聴できる。順位情報はWMTのほか沖電気の独自形式でも配信されており、PCに「OKI Player」をインストールすることで受信が可能。これを利用することでレース映像と順位を同時に視聴することができる。


Windows Media PlayerとOKI Playerを利用して、レース映像と順位を同時に楽しむことができる カメラの代わりにノートPCを片手にしてのレース観戦もなかなか快適

 無線LANのアクセスポイント(AP)はシスコシステムズの「Cisco Aironet 1200」がボックスに入れられて設置されており、メインスタンドのほかサーキットのコーナーなどレースの見所となる場所の観客席も含め、その数は合計40を数える。APからのデータ配信はより多くのクライアントが受信できるようにIEEE 802.11bで最大2Mbpsのマルチキャストで行われている。各APとサーバーは、メインスタンド側はVDSL、離れた場所にある観客席には26GHz帯の周波数を利用して最大40Mbit/sの通信が可能なWIPAS(Wireless IP Access System)を利用したネットワークで結ばれている。


各所に設置されている無線LANアクセスポイント メインスタンドの上に設置されているWIPAS 最大1km程離れた観客席にある子機と通信している

Pit Live TVが利用可能なエリア 機器の配置位置 マルチキャスト配信システム構成

ツインリンクもてぎ 営業部 本間公康氏
 ツインリンクもてぎ営業部の本間公康氏によると、管理者側でサービスを利用したクライアント端末をカウントすることができるという。これまでレースでは「4月のインディジャパン2004で約1,000台、6月に行われたフォーミュラニッポンで700~800台」の接続があったとのこと。キャパシティ的にはまだ余裕があり、「(9月17日~19日まで開催される)MotoGPには、これまでの2~3倍の接続を目指したい」とのこと。

 まだサービス開始から4カ月前後で技術的な面やコンテンツのニーズなどを模索している段階だが、本間氏は「現在配信している映像はオフィシャルのもののみだが、今後は多チャンネル化して会員向けにピットなどの映像を配信したい。また、屋外での使用が認められればIEEE 802.11a/nも利用したい。そうなればサーバーもItanium 2への移行も…と、上を見ればきりがない」と将来的なプランを挙げる。「そのためには、もっとアピールしてユーザーを増やさないと」(本間氏)。


インテル マーケティング本部モバイル&ワイヤレスマーケティングインフラストラクチャ・プログラム・マネージャ 江頭靖二氏
 インテルもモータースポーツのほか、8月13~15日に開催される「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で、GPSを利用して選手の位置情報やスコア、ライブ映像を配信するサービスに協力するなど、ノートPCの所有率が高いと思われる30~40代前後のユーザーを皮切りにコンシューマをターゲットとしたサービスを展開し始めている。インテル マーケティング本部モバイル&ワイヤレスマーケティングインフラストラクチャ・プログラム・マネージャの江頭靖二氏は「これまでモバイルコンピューティングの有用性をホットスポットなどでビジネスユーザーに訴求してきたが、今後まずはスポーツイベントを通じてコンシューマユーザーにも伝えていきたい」と語った。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  ツインリンクもてぎ
  http://www.twinring.jp/
  Pit Live TVについて
  http://www.twinring.jp/motorsports/pit_live_tv/
  ニュースリリース「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0408/0302.html


( 朝夷 剛士 )
2004/08/06 12:19

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