Enterprise Watch
最新ニュース

マイクロソフト、FY05の経営方針を発表「セキュリティが最優先課題」

公取委の排除勧告に対する見解にも言及

 マイクロソフト株式会社8月10日、7月から始まった同社の新会計年度(FY05)の経営方針説明会を開催し、代表執行役社長のマイケル・ローディング氏がFY04の流れに沿った展開を続けていく考えを示した。


FY04からの方針転換は基本的になし

代表執行役社長 マイケル・ローディング氏

FY04の製品展開

対象となるユーザーカテゴリー
 同社はユーザーを大きくエンタープライズ、デベロッパー、インフォメーションワーカー、SMB(中堅・中小企業)、コンシューマに分け、パートナーを通じて製品やサービスを展開するスタイルをとっているが、FY05でも基本的にこの流れを継続するとしている。ローディング氏は各分野ごとに発表した製品はどれも順調な売れ行きを示しているとし、例としてインフォメーションワーカー向けのOffice製品を挙げ「Office 2003はOffice XPよりかなり早い速度で普及している」と好調さをアピールした。

 一方でローディング氏は、企業のPCやサーバーで旧バージョンのOSが多数稼働していることを指摘し「セキュリティの確保をはじめ、まだ多くの価値を提供しきれていない」と述べ、Windows XPやWindows Server 2003などへの移行を引き続き推進していく考えを示した。特にWindows XPはSP2のリリースが間近に控えており、セキュリティの強化と合わせて乗り換えを強く推し進めていく方針だ。

 また、近年のLinuxの台頭に対しても強い意識を示し「2年前はどちらを選択するかを感情論で決められていたが、最近はTCO削減や生産性向上といった目的の達成に近い方が選ばれるようになった」と述べ、第三者機関の調査結果を明示してWindowsの優位性を説く「Get the Factキャンペーン」を継続していく意向を示した。さらにメインフレームやUNIX、Lotus Notesなどから同社プラットフォームへのマイグレーションにもパートナーを通じて積極的に進めていく構えも見せた。

 製品展開以外では、セキュリティの確保やIT活用に向けたインフラの整備を進め「お客様やパートナーの満足度向上」を目指すことをローディング氏は繰り返す。特に政府・自治体や中堅・中小企業に対しては、安心してITを活用できるようにトレーニングなどを通じた啓もう活動や、各種業界団体とのアライアンス、XMLやWebサービスなどによる各システムとの相互互換性確保などを進めるとのこと。パートナーについても支援プログラムの充実を図り、認定パートナーを「現在の1,000社から1,500社に増やしたい」としている。


公取委の排除勧告に対し、応諾しない考えを強調

 ローディング氏は7月に公正取引委員会より排除勧告を受けた件についても言及し、「公取委の調査には協力するが、契約は適切なものだった」と、勧告に応諾しない姿勢をあらためて示し「米国やヨーロッパで適切と判断されたものが、なぜ日本で問題視されているのかわからない」と勧告に対する疑問を投げかけた。さらに、8月1日より契約内容を変更した件について「IT環境の進化に応じて契約も変化した」と述べ、焦点となっている従来の契約の非係争条項の存続についても「適切であり有効なもの」とする主張を変える考えがないことを強調した。


MSBlasterの教訓から夏休み中も日本国内に滞在

 2003年に社長就任後、ローディング氏は今回が2回目の経営方針説明会となる。昨年も同時期に開催し、数日後にMSBlasterワームが大流行した。ローディング氏は「今年は去年のように(お盆前後に)MSBlasterのような問題は発生しないだろう。万が一起きたとしても業界やマイクロソフト、顧客の間で十分に対処できる準備ができている」と安全性を強調した。ただローディング氏は去年の問題発生時にフランスにいて一部マスコミや顧客から批判を招いたことから、今年はお盆前後も日本国内に滞在し万が一の場合に備えることを約束した。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

関連記事
  ・ 米Microsoft、Windows XP SP2がRTM段階に(2004/08/09)
  ・ 米Microsoft、公取委の排除勧告を応諾しないと表明(2004/07/26)
  ・ 公取委、独禁法違反で米Microsoftに排除勧告(2004/07/13)
  ・ マイクロソフト、Windowsサーバー戦略は順調も課題はやはり「セキュリティ」(2004/04/27)
  ・ 米Microsoftアヤラ氏、「優先すべきは顧客の“バリュー”」(2004/04/02)
  ・ 第一回・マイクロソフト -「事実に基づいた比較を」と訴えるマイクロソフト(2004/03/17)


( 朝夷 剛士 )
2004/08/10 18:52

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.