ガートナージャパン株式会社は、2004年4月~5月に行った日本の企業ユーザーにおけるIT投資効果の実態調査結果を発表した。調査は従業員50人以上の中小企業から大企業の情報システム部門の管理者に対して行われ、有効回答企業数は1,087社。
これによると、これまでのIT投資に対する成果を「期待以上の成功」または「期待どおりの成功」と答えたのはわずか7.2%で、「ある程度は成功」が61.8%、「どちらでもない」が23.0%、「どちらかというと失敗」または「失敗したシステムが多い」が6.9%という結果となり、全体としてそれなりの効果を挙げたと答えた企業が多いものの、それらの企業が得た効果は期待値よりも低い企業が多いことがわかった。
さらに成功している企業とそうでない企業の間でのITの運用体制の違いについて調査したところによると、経営陣におけるITの重要性の理解や経営目標達成のためのIT利用、導入前後の効果測定の実施などにおいて成功している企業が強い傾向があった。
これらからガートナーでは、IT投資の効果を最大限高めるために経営者が経営戦略上におけるITの重要性を十分理解した上で、(1)IT戦略を経営戦略の中の1つとして考えるべき、(2)経営目標達成のために組織全体でITを利用する体制を整えることが必要、(3)事前に設定した経営目標がIT導入によってどの程度達成されたのかを検証するため導入効果を継続的に測定することが必要とし、これらはすべて経営者の強力なリーダーシップがなくては不可能としている。
一方で、成功している企業とそうでない企業におけるCIOの設置比率は、両者とも10%前後とそれほど差がなく、たとえCIOを設置していたとしても多くの日本企業における彼らの役割は、ガートナーが提唱する理想的な役割とは大きく違う可能性があるという。
■ URL
ガートナージャパン株式会社
http://www.gartner.co.jp/
ニュースリリース(PDFファイル)
http://www.gartner.co.jp/press/pr20040818-01.pdf
( 朝夷 剛士 )
2004/08/19 13:02
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