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ピープルソフトの人事管理ソリューション、阪急電鉄に導入


 日本ピープルソフト株式会社は8月20日、人事管理ソリューション「PeopleSoft Enterprise Human Capital Management(HCM)」が、阪急電鉄グループ18社の人事業務シェアードサービスのシステム基盤として採用されたと発表した。

 阪急電鉄に採用されたのは、PeopleSoft HCMのヒューマンリソース管理と、給与計算を行うグローバルペイロールで、グループ18社、1万人の社員を対象に2004年5月よりサービスを提供しており、2007年までには26社、1万5000人へ対象を拡大する予定。


日本・アジアパシフィック担当 HCMプロダクトマーケティングマネジャー 横井クリスティーヌ由美子氏

従業員のモチベーションが企業パフォーマンスに直結する

3段階のプロセスで企業戦略と人的資源を合致させるPeopleSoft HCM
 日本ピープルソフト株式会社 日本・アジアパシフィック担当 HCMプロダクトマーケティングマネジャーの横井クリスティーヌ由美子氏は、「人事管理ソリューションは、事務処理をより効率化するものから、ポータルやデータウェアハウスの活用により戦略や計画策定のための分析へと進化してきた」とした。

 同社の調査によれば、企業CEOにとっての今後5年間の課題として顧客の保持、コスト削減に次いで、人材の開発が挙げられた。企業では、リストラも広く行われる一方で、キーとなる人材に対しては投資が行われており、人材開発はグローバルでフォーカスを浴びるなど、市場でも重要視されている。

 横井氏は「人事の役割が、ビジネス全体に貢献するものとしてクローズアップされていく」との見方を述べ、「そこではビジネス全体のプロセスに近い形の人材管理が求められる」とした。またビジネス目標とのつながりとして、「将来を担う人材を発見し、育成を通じて段階的に特定する」ことも重要視されるとした。

 もうひとつの調査では、自らの行動が企業へどう影響するか、また企業戦略を従業員が理解することが、企業のパフォーマンスに直結するとの結果が出ており、「人事部門としても、人材育成プログラムなどをデザインしているかどうかが問われており、これができている企業ほど、従業員のモチベーションが向上し、利益率や企業パフォーマンスにも結びついている」と語った。

 これらを踏まえ、人事管理ソリューションであるPeopleSoft HCMでは、データの統合、マニュアルプロセスの自動化といったシステムとプロセスの合理化をまず最初の段階とし、ポータルによる研修登録や承認フローのといったプロセスのセルフサービス化を第2段階に、そして3段階目としては、会計財務、顧客情報などを人事情報と組み合わせ、DWHによる分析を通じて「企業の目標と従業員の日々の活動を結び付けることを、システム的に支援する」ことが最終的な到達点として目指されている。

 またPeopleSoft HCMでは、ラーニング、キャリア計画、リーダー育成、企業パフォーマンス、また分析やレポーティングといったそれぞれ個別の機能が、統合されたプロセスとして一元的に統合管理できる仕組みとして提供される点が特徴となっている。これによりビジネスの状況にもとづいて、企業戦略に合致するような個々人の目標を設定し、ラーニングを通じてこれを達成するような一連のプロセスを実施できる。また行動特性を示すコンピテンシーについてもデータとして反映できるという。さらにこうした人材開発の計画は、人事管理に即したKPIにより提示される。これがDWHで統合、分析され、組織全体にわたって測定ののち計画を変更できる仕組みとなっている。

 横井氏は「重要なのはテクノロジーが企業で活用されること。HCMは企業ごとに段階にあわせて利用されている」と述べた。


プロファイルとラーニングを組み合わせて、戦略に沿った人事プロセスを一元管理する 業務と従業員のコンピテンシーの相違を、さまざまな項目により評価・把握できる コンピテンシーに応じて必要なラーニングが自動的に提案される

株式会社阪急ビジネスアソシエイト ヒューマンリソース事業部 給与担当マネージャー 和田等氏

統合前の人事システムイメージ

統合後にはデータソースも一元化された
 阪急電鉄グループは2001年3月に“阪急新世紀グループビジョン”を発表した。これにより、それまでの「グループ各社独立独歩での事業拡大」(株式会社阪急ビジネスアソシエイト ヒューマンリソース事業部 給与担当マネージャー 和田等氏)から、グループ全体をひとつとしてとらえ、重複事業の整理などの再編も視野に入れながら、強みとなる5つの事業分野に経営資源を集中するよう、経営方針の転換を図っている最中だ。

 この過程で、人事、経理、総務といった間接業務は、効率性と専門性に特化したシェアードサービスセンターからグループ各社へサービスとして提供される決定がなされ、PeopleSoft HCMは、グループ共通の人事業務基盤を実現するために導入された。

 ここではすべての人事関連情報がセンターに集約され、給与、勤怠管理のシステムとも接続されて一元化されている。グループ企業間での共通項目は、従業員IDをキーに管理されており、事業会社ごとに異なる項目については、会社単位で雇用レコード番号をもちいて情報を切り分けているという。

 また事業会社ごとの人事制度、組織体系とそれらの変更にも対応できる柔軟性のほか、運用コストはもちろん、サービスの提供対象となる企業が拡大する際のイニシャルコストの削減といった、統合によるコストメリットも要求されたという。「コストについては今後毎年5%削減を目標にしていく」とのことだ。また「パッケージをテンプレートとして、人事業務の側がこれに合わせる」ことで業務も効率化されたという。

 また「従業員による業務のセルフサービス化については、現時点ではなかなか進んでいない」としながらも、クライアントからはWebブラウザでアクセスできる点も評価された。

 また人材育成に関しては、現在の所教育研修、育成データを蓄積しているとのこと。「PeopleSoft HCMは、人材を資源としてマネジメントして、個人の潜在能力を見出すことのできるシステム。すぐに結果は出ないが、5年から10年のスパンでこの部分を有効活用していきたい」と語った。



URL
  日本ピープルソフト株式会社
  http://www.peoplesoft.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.peoplesoft.co.jp/corp/en/about/press/int_press_release.jsp?doc=3313FD667CF8B0C283256EF600179301&language=jp
  阪急電鉄株式会社
  http://www.hankyu.co.jp/
  PeopleSoft Enterprise Human Capital Management
  http://www.peoplesoft.co.jp/corp/jp/products/ent/hcm/index.jsp

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( 岩崎 宰守 )
2004/08/20 18:23

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