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日本ユニシス、「実世界の写像をサイバー空間上に作る」次世代コンセプトモデル


 日本ユニシス株式会社は8月24日、次世代情報システム基盤のコンセプト「Next-Generation Enterprise Middleware(開発コード名。以下、NGEM)を発表した。開発は同社のほか産学官の連携プロジェクトやオープンソースコミュニティを通じた他社・他団体と共同で行われ、12月に第1版を非GPLのオープンソース版として公開される予定。


先端技術企画部 秋山功氏
 NGEMは、PCや携帯電話だけでなく家電や自動車、さらにセンサーや各種製品などに付くICタグなど、膨大な数のデバイスがネットワークに接続されるというユビキタス環境での利用を想定した情報システム基盤。同社先端技術企画部の秋山功氏は「これらデバイスを有機的に結びつけることで新たなサービスやアプリケーションの開発を可能とするもの」と説明する。

 NGEMは名前のとおりミドルウェアとしての役割を受け持ち、「分散コンピューティング基盤」「リソースアクセス基盤」「サイバーコンピューティング基盤」「共通サービス群」の4階層で構成され、セキュリティの確保、各リソースへのアクセス、多種多様なデバイスのハンドリングなどを行う。中でもユニークなのがサイバーコンピューティング基盤によって現実世界にある各デバイスをサイバー空間と称したネットワーク上に写像するというもの。ネットワークに接続したデバイスを単なるデータとしてではなく現実にあるモノをそのままサイバー空間に持ってきて、意味のある塊(エンティティ)として扱う。そして現実世界でのデバイス(が付いたモノやヒト)の変化をリアルタイムでサイバー空間にも反映させ、逆にサイバー空間の写像への操作が現実世界へ作用する。また、どこで何が起きたかなど時間・位置情報も管理する。

 秋山氏は「現在インターネットに接続している各種デバイスは、それぞれシステムごとに個別の手法で管理されておりデータの再利用やデバイスの連携が困難。このままデバイスの数が増加すればネットワークはデータとサービスの混とんが発生する」と問題点を指摘。NGEMにより各種デバイスのハンドリングを標準化し連携させることで大量・多様化するデータの利活用を推進する。


現実世界とサイバー空間のイメージ NGEMの位置づけ NGEMを構成する4つの基盤

 またNEGMについて同社は「e-Japan戦略を意識したもの」と認めている。e-Japan戦略では「世界トップクラスのIT国家」という抽象的な目標が掲げられているが、それを構成する具体的な仕組みなどは決められていないのが現状。同社は「我々ITベンダーとしては、NEGMのようなオリジナルのアイデアを出し合ってそれらを起爆剤とし活性化させていく必要がある」としており、e-Japan戦略の基幹となる次世代ITインフラの主導権を狙っている。



URL
  日本ユニシス株式会社
  http://www.unisys.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.unisys.co.jp/news/NR_040824_NGEM.html


( 朝夷 剛士 )
2004/08/24 19:28

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