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恒常的な対策によりセキュリティサービス市場が拡大-富士キメラ総研調査


 株式会社富士キメラ総研は8月31日、ネットワークセキュリティ製品・サービスのマーケット調査結果をまとめた「2004 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」と、その概要を発表した。調査対象は、ネットワークセキュリティサービス(9品目)、ネッワークセキュリティ製品(13品目)、ネットワークセキュリティ提供事業者(SI企業32社、メーカー/ベンダ9社)。

 それによると、新種ウイルスや不正アクセスなど手口の高度化・複雑化に加え、個人情報流出などへの対策が不可欠となるなど、内・外部への恒常的な対策の必要性が高まっていることから、同市場の2003年実績は4981億円にのぼり、さらに同社では2007年には1兆1095億円に達すると予測している。

 また、セキュリティツール自体もさることながら、アウトソーシングの利用や社内セキュリティポリシーの監査、さらに社内規定の策定やセキュリティツールに関する認定資格など、セキュリティサービスに対するニーズが高まっており、ベンダーからユーザーへの提供手段の主流になりつつあるという。そしてこれらの対策は恒常的に必要とされることから、新規構築や既存ユーザーにおけるシステムの改善、拡張需要などが継続的に見込まれる。

 中でも管理負荷の増加からアウトソーシング系サービスの利用が拡大を続けている。不正アクセス監視サービスなどはサービス価格の下降が起こっているが裾野が拡大しており、ウイルス監視サービスやファイアウォール運用管理サービスなどの有効性も高まっている。また市場牽引役とされるVPNサービスにおいては、今後もフレームリレー、専用線ネットワークからの移行が進行することから、ネットワークの運営負担軽減を目的とする企業ユーザーニーズを取り込みながらIPセントレックス導入増加によるIP-VPN利用拡大も見込まれる。VPNサービスは2003年実績1795億円だったが、2004年には2130億円を見込み、2005年2300億円、2007年2640億円となると同社は予測している。

 一方、セキュリティツールは企業アクセス環境が多様化していく中で、本人認証基盤の必要性が高まっていることにより、認証製品市場が今まで以上の拡大が見込まれている。VPN、検査・解析ツールについてはアウトソーシングサービス、マネージドサービスなどサービスへの製品展開が鍵となっており、サービスプロバイダ向けなどへの新たなアプローチにより市場拡大が見込まれる。セキュリティツール市場全体では、2003年実績1740億円、2004年2128億円を見込み、2005年2503億円、2007年3219億円となると同社は予測している。
 
 なお、個人情報保護法施行がきっかけになって暗号化ソフトの利用が進んでいるが、それによって各企業における情報管理ニーズが浮き彫りになってきており、製品機能、利便性も飛躍的に向上してきており、裾野の広がりと機能向上により市場としてもさらなる拡大が見込まれている。暗号化ソフト市場は2003年実績73億円、2004年見込み139億円、2005年160億円、2007年310億円と順調な拡大を同社は予測している。



URL
  株式会社富士キメラ総研
  http://www.fcr.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.fcr.co.jp/pr/pr04_25.htm


( 朝夷 剛士 )
2004/08/31 12:27

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