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企業経営層の61%が「日本のディザスタリカバリは遅れている」と認識―ベリタス調査


 ベリタスソフトウェア株式会社は8月31日、国内の企業経営者層を対象に実施した、「ITシステムの災害対策に対する意識調査」の結果概要を発表した。この調査は、7月15日に開催された経営者向けセミナー「目前に迫る危機 その時あなたの会社は生き残れるか?」の出席者にアンケート形式で実施したもので、354名中250名から有効回答を得られたという。

 現在、テロや大地震発生といったことによる危機意識の高まりなどもあり、ディザスタリカバリ(以下、DR)には注目が集まっている。しかし、企業存続の観点から見た場合、どのような投資をすべきか、また何からはじめたらいいのか、という疑問を多くの企業が抱えているという。そこで、同調査では、事業継続性という観点から、国内企業がDRに対してどのような意識を持っているか、どういった対策をとっているか、という点を主眼に置いて調査を行った。

 まず最初の「日本のDRの現状」に関しての設問では、回答者の6割強が、日本のDRは「非常に遅れている」(6%)、「遅れている」(55%)と回答する一方、「進んでいる」と回答したのはわずか4%に過ぎず、「多くの人は日本の対策に遅れがあると感じている」ことが明らかになった。また、59%が「システム復旧にかかる時間を把握していない」、76%が「システム停止のもたらす損害を把握していない」と回答。特に「事業継続」という経営側の視点からは、DRへの取り組みが遅れている現状が浮き彫りになっている。

 さらに、「実際に行っているDR対策」(複数回答)に関しては、「バックアップ(テープ)」が116件、「バックアップ(HDD)」が106件と、最も基本的な部分である「データバックアップ」の導入はすすんでいるのものの、「データの常時複製」は18件、「システム停止時の遠隔地への引き継ぎ」は23件で、複製したデータをどのように扱うか、という部分ではまだ対応が遅れている。

 また、「自社のDR対策が信頼できるかどうか」という設問に対して、「信頼できる」「非常に信頼できる」とした回答者は全体の18%に過ぎず、「非常に不安」が10%、「やや信頼できない」が27%、「どちらともいえない」が45%を占めた。この結果を受けた「なぜそう思うか」という問い(自由回答)には、「ハード機器の信頼性」、「システムを二重化していない」など、信頼できない理由としてハード面をあげる回答者が多かった一方で、「訓練」や「検証」、「人員」なども回答の上位を占めていた。

 なお、この調査に関して同社の代表取締役社長、木村裕之氏は「今回の調査では、企業の事業継続という観点に立ったDRの導入が遅れている実態が明らかになった。DRは1回導入すればいいという単一のプロジェクトではなく、定期的に見直して継続していくべき全社的な経営課題だ。当社では、ユーザーの現状にあわせて、パートナーとともに対策を提案するVERITAS DR コンサルティングサービスをはじめた。ユーザーのDRへの意識を高めるとともに、最適なソリューションの提案を行っていく」とコメントしている。



URL
  ベリタスソフトウェア株式会社
  http://www.veritas.com/ja/JP/
  プレスリリース
  http://www.veritas.com/ja/JP/resources/press/PressReleaseDetail.jhtml?newsCI=62737_2004_08_31_pr


( 石井 一志 )
2004/08/31 15:56

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