日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、IBMソフトウェア開発研究所(神奈川県大和市)内に、ソリューションの検証確認部門である「システムハウス(仮称)」と、ソフトウェアのサポート強化を目的とした「IBMミドルウェア・カスタマー・サポート・センター」を10月1日付で設立する。
■ 先進アプリケーションの検証部門「システムハウス」
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日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 ソフトウェア事業部長 三浦浩氏
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システムハウスは、WebSphere、DB2、Tivoli、Lotus、RationalといったIBMのミドルウェアを組み合わせた環境の仕様策定や検証作業を行う10~15人規模の部門として設置され、これらのミドルウェア上で、稼働例のない先進アプリケーションを展開するユーザー企業への技術サポートを提供する。
日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 ソフトウェア事業部長 三浦浩氏は、「現場のインテグレーションにおいて、市場の変化対応へのニーズは高まるばかり。そこでミドルウェアは重要な役割を果たすと考えている」と述べた。システムハウスでは、顧客の活用シナリオに沿ってIBMのミドルウェア環境で稼働する先進アプリケーションの事前検証を行い、導入展開を迅速化することを主な目的とする。なお同様の施設は、アメリカ・ヨーロッパの3拠点にすでに設置されているという。
■ 環境を再現して障害解析を行う「IBMミドルウェア・カスタマー・サポート・センター」
IBMミドルウェア・カスタマー・サポート・センターは、従来はアメリカなどの海外拠点から提供していたミドルウェアの“レベル2”技術サポートを日本国内で行うために、20名体制で設置される。2005年末までに70名規模へ増強される予定。
レベル2サポートは、ユーザーの環境を再現して障害原因の解析を行うもの。従来は国内顧客へのサポートについても海外の開発研究施設の部門で解析が行われていたが、これを国内で行うことで、サポートに要する期間を2/3にまで短縮するという。なお顧客問い合わせに対して技術情報を調べてサポートを行うレベル1は従来から国内で提供されており、製品開発者がサポートを提供するレベル3は、国内開発のソフトウェアを除いて、海外からの提供となる。
三浦氏は「どれだけ早く解決策を提示できるかが重要で、現場で悩まないで有効に社内リソースを活用するよう、現場にこの数年奨励している」とした。また「製品開発部隊である大和の研究所の人材がサポートを手がけることで、顧客へ向けての解決策の品質向上とスピード化に寄与すると期待している」と語った。
■ ソフトウェアITアーキテクト増員で業種別営業力を強化
また同社のミドルウェア、ソフトウェア技術を熟知したソフトウェアITアーキテクトを、現在の35人から100人程度へ増員する。アーキテクトはより顧客ニーズに即したアーキテクチャ採用を提案できる人材として位置づけられ、業種別に配置される。
「顧客が望むのは、ビジネスバリューを理解した上で、必要なテクノロジーを提案できる企業」とした三浦氏は、アーキテクト増員について「顧客環境ではIT活用の場が広がり、アーキテクチャの混在など複雑化が進んでいる。そうしたなかでは、スペシャライズされたエンジニアでないと、顧客ニーズには応えられない」と述べた。また「ソフトウェア事業部のエンジニアは先進技術に触れる機会が多いため、高いスキルを持った人材をソフトウェア事業部に限らず日本IBM社内から集めたい」とした。
■ パートナー連携強化を目的にミドルウェア5ブランドに事業部長職を設置
さらに、ミドルウェア5ブランド(WebSphere、DB2、Tivoli、Lotus、Rational)について、それぞれ事業部長が着任し、1月からそれぞれ担当していたソリューション領域に加え、各ブランドの日本市場への戦略も担当する。これは「ISVパートナーとの協業の結果、ソリューションメニューの整備など、市場へ向けての営業活動には進展があった。今後はソフトウェアブランドを活性化することで、さらにパートナー連携を強化していく」とした。
最後に三浦氏は今回の取り組みを「ユーザー企業がソフト・ハードの導入を決める大きな要因は品質とサポート。今回の取り組みでこれをさらに強化していきたい」と総括した。
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IBM ミドルウェア5製品のシステム領域
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各ブランドの事業部長5氏は、これまでのソリューションに加え製品戦略までを担当する
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■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
ニュースリリース
http://www.ibm.com/news/jp/2004/09/09061.html
( 岩崎 宰守 )
2004/09/06 14:07
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