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企業のチーム開発をサポートする次期開発プラットフォーム「Visual Studio 2005 Team System」

~Microsoft Tech・Ed 2004 Yokohama 講演

Visual Studio 2005 Team Systemのアーキテクチャ

デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 マネージャー 磯貝直之氏
 マイクロソフト株式会社主催の技術者向けカンファレンス「Microsoft Tech・Ed 2004 Yokohama」が9月7日から10日まで横浜市のパシフィコ横浜で開催された。このカンファレンスにおいて、エンタープライズ向けの次期統合開発プラットフォーム「Visual Studio 2005 Team System(以下、Team System)」が紹介された。

 Team Systemは、マイクロソフトの次期統合開発環境「Visual Studio 2005」に、チーム開発を前提としたエンタープライズ向けの機能を追加した製品である。しかし“機能追加”と呼ぶにはあまりにも多くの機能を内包しているため、Visual Studio 2005をコアにした次世代の“開発プラットフォーム”と言った方が正確だろう。

 Team Systemは、デザインフェーズの「Team Architect」、開発フェーズの「Team Developer」、テストフェーズの「Team Test」、プロジェクト管理やチームのコミュニケーションインフラを提供する「Team Foundation」の4つに大きく分けられ、システム設計からテストに至るまでの開発フェーズをトータルにフォローしている。しかしマイクロソフトでは、開発インフラ市場の独占を目的としているわけではない。同社デベロッパーマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 マネージャーの磯貝直之氏は「すべての開発フェーズをマイクロソフトが独占して競業他社を排除するのではなく、Team Systemを開発プラットフォームとして弱い部分を補う形でパートナーとの協力を図っていきたい」と語る。


アプリケーションモデリング
 Team Architectでは、開発するソフトウェアの運用をイメージできるよう、デザインの段階からサービス指向に基づいている。つまり「アプリケーションモデリング(アプリケーション接続ダイアグラム)」から“サービス”の単位でシステムをモデリングすることになる。また「論理インフラモデリング(論理データセンタダイアグラム)」では、実際のハードウェア的な繋がりをモデリングする。さらに「配置モデリング(配置ダイアグラム)」によって、ソフトウェアをハードウェアにどのように配置するかなどをデザインできる。

 また「クラスモデリング」では、単にクラス図を記述するだけで自動的にコードを生成する2Wayモデリングとなっている。そしてコード側を変更してもクラス図に反映される。一見するとUMLのクラス図のように見えるが、これはDSL(特定領域言語)と呼ばれるモデリング言語である。マイクロソフトではモデリング言語としてUMLではなくDSLを選択したため、UMLはこれまで同様Visioによるサポートというレベルにとどまる。


論理インフラモデリング 配置モデリング クラスモデリング

静的コード分析
 開発フェーズであるTeam Developerには、エンタープライズにおけるアプリケーションの信頼性を高めるため、動的コード分析や静的コード分析、コードプロファイラなどの機能が含まれる。

 アプリケーションの品質を向上させるためのテストフェーズであるTeam Testでは、負荷テスト機能などがある。またテストシナリオやステータスなどのテストケースを管理したり、手動テストを実行する際のマニュアル(手順書)も作成できる。

 Team Foundationは、変更管理、レポーティング、ビルド、チームコミュニケーションなどチーム開発全体を支える基盤となる。他の機能がクライアント側だけで利用できるのに対し、Team Foundationはクライアント側にTeam Foundationクライアントを導入し、サーバーと連携して動作する。プロジェクトのレポーティングではSQL Serverの機能を利用しており、チーム内コミュニケーションでは、SharePoint Serverの機能によりポータルを自動的に生成できる。


SQL Serverの機能を利用するプロジェクトレポート SharePoint Serverによりポータルを自動生成する

マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 シニアプロダクトマネージャー 岩出智行氏
 Team Foundationでは、Team Sysytem APIによって、ExcelやProjectといった既存のOffice製品を、Team Systemからダイレクトに利用することができる。マイクロソフト株式会社 デベロッパーマーケティング本部 シニアプロダクトマネージャーの岩出智行氏は「現在プロジェクト管理をされている方の多くは、ExcelやProjectで管理されています」とプロジェクト管理の現状を語る。

 また、Team Sysytem APIは、他のベンダーの製品との連携も可能にする。このようにTeam Systemは多くの製品と連携することが可能になり、次世代の開発プラットフォームとなるのである。

 気になるTeam Systemのリリース時期であるが、すでに早期評価版である「Visual Studio 2005 Beta 1 Refresh with Visual Studio 2005 Team System」がMSDNサブスクリプション会員向けに提供されている。正式なリリース時期はまだ明らかにされていないが、今回提示されたロードマップでは2005年となっている。おそらくこれは英語版のリリース時期であり、日本語版リリースはさらにその後になると予想される。しかし岩出氏のデモで使用されたTeam Systemは一部が日本語化されていたことから考えると、比較的早い段階で日本語版もリリースされるのではないだろうか。


Excelによるプロジェクト管理 マイクロソフト サーバープラットフォームのロードマップ 一部が日本語化されている


URL
  Microsoft Tech・Ed 2004 Yokohama
  http://www.event-registration.jp/events/te04/
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Visual Studio 2005 Team System
  http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/teamsystem/

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( 北原 静香 )
2004/09/10 17:06

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