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米EMCが目指す先は「ILMを実現する情報テクノロジーベンダー」
米EMC マーケティング&テクノロジー担当 エグゼクティブバイスプレジデント ハワード D. エリアス氏
米EMCマーケティング&テクノロジー担当エグゼクティブバイスプレジデントのハワード D. エリアス氏は9月14日、プレス向け説明会の席で同社がストレージ専業ベンダーから情報管理をトータルでサポートするテクノロジーベンダーとして展開していく考えを示した。
同社は当初ハイエンド向け外部ストレージ「Symmetrix」をはじめとするハードウェアを中心に展開していたが、2004年第2四半期の売上比率を見るとソフトウェアが28%、サービスが25%を占め、ハードウェアが占める比率は全体の半分以下となっている。エリアス氏はこれについて「ハードウェアの売上が減っているわけではなく、ソフトウェアやサービスがハードウェアを上回る伸びをみせている」と説明。全体の売上は6四半期連続で黒字を計上しているほか、「今年は前年の60億ドルから20%増の80億ドルを見込んでいる」と、好調さをアピールしている。
同社は2003年にストレージ管理ソリューションの米Legato Systems、エンタープライズコンテンツ管理ベンダーの米Documentumの買収を相次いで発表し、ILM(Information Lifesycle Management)への取り組みを強化している。企業が扱うデータ量の急増や複雑化、コンプライアンス、災害に対するデータ保護とリカバリ、そしてコスト削減など、ストレージ管理に対する要求が増え続けている中で、「変化する情報の価値に合わせてインフラとコストを最適化するILMへのユーザーの期待は大きい」とエリアス氏は展開の背景を説明する。
ILMの5つのアーキテクチャと対応するEMC製品群
ILMの段階的導入
ILMは使用頻度の高いデータを性能・可用性の高いファイバチャネル接続ストレージなど置き、頻度が落ちたデータをATAやテープドライブなど安価なストレージに移動して保存。さらにこれらのプロセス管理を簡素化、自動化してデータ保護と機器や管理コスト削減の両立を実現するというもの。エリアス氏はILMのアーキテクチャとして(1)階層型ストレージ、(2)データ保護およびリカバリ、(3)データ移動、(4)情報およびコンテンツ管理、(5)1~4の全体管理、の5つを挙げ、EMCではそれぞれにおいて製品やサービスを研究開発や買収などにより準備し、ILMを実現するソリューションの提供が可能となったとしている。
また、2003年末に発表された米VMwareの買収は、サーバー、ストレージ、ネットワークのITリソースを仮想化し、管理の簡素化やリソース配分の最適化を実現する「仮想インフラストラクチャ」構築の一端で、ILMを構成する階層型ストレージ管理にもつながっている。
同社は2003年前半に世界で初めてILMを提唱したとしているが、それから1年半で同社や他社でこれに向けた製品が出そろってきた。まだ日本では「導入はこれから考える」という企業が多いが、エリアス氏は「当社の顧客の半分が情報の重要度の分析と階層化をすでに進めており、また数百社は次のステップとして特定のアプリケーションやビジネスプロセスに基づいたデータ移動の自動化に向けたポリシー策定を行っている」と、ワールドワイドでILMの導入が進んでいることを強調する。
同社がかかげるILMの最終段階とは、あらゆるアプリケーションにわたってILMを実現し、いかなる情報も見通せるという「企業規模のILM」だとしている。これに向けエリアス氏は今後の課題を「アプリケーションと業務プロセスをさらに理解していくこと」としており、研究開発に35億ドル、企業買収に37億ドルを準備しているという。
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URL
米EMC
http://www.emc.com/
EMCジャパン株式会社
http://japan.emc.com/
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( 朝夷 剛士 )
2004/09/14 18:24
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