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米Juniper Networksの創設者で、副会長兼CTOのプラディープ・シンドゥ氏
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インフラネットの目指すポジションを示した概念図。同構想では、インターネットよりもアシュアランスが高く、LANS(専用ネットワーク)よりも仮想化を進めたエリアへ進もうとしている
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ジュニパーネットワークス株式会社は9月14日、プレス向けの説明会を開催し、米Juniper Networksの創設者で、現在副会長兼CTOの職にあるプラディープ・シンドゥ氏が、同社を中心に進められている「インフラネット構想」についての説明を行った。
シンドゥ氏によれば、現在、さまざまなアプリケーションを、高いコスト効果で扱えるネットワークは存在しないという。普及しているインターネットでは、安全性、信頼性、品質が欠けているため、リソースに対する要件が厳しいテレビ電話やVoIPなどのアプリケーションを扱うには向いていない。また、専用線などのレガシーインフラは、信頼性や品質は高いが、扱えるアプリケーションが限定されるし、高価だ、というのである。
そこでJuniper Networksでは2003年に、双方のネットワークに足りない部分を併せ持つものを作ろう、という構想を、米Lucent Technologiesと共同で提供した。それが「インフラネット構想」である。つまり、高い普及率や経済的効果などインターネットが持つ利点に、性能、セキュリティが保証された専用線の長所を取り入れよう、ということだ。
この構想では、IP/MPLSベースのネットワークを構築し、すべてのユーザー/アプリケーションに対して、高品質を担保しながらネットワーク全体を運営しようとしている。すでにIP/MPLS自体はインターネットでも用いられているものの、シンドゥ氏は「品質を確保しながらネットワークにつなげるためのオープンスタンダードがない」と、その欠点を指摘。「インフラネットでは、これを補うためにI-CNI(クライアント網)とI-ICI(キャリア間)の2つの共通インターフェイスを用意し、共通化を図っている。独自規格ばかりでは、複雑で機能しなくなる。オープンかつ標準であることは重要だ」(同氏)と説明した。
また、なぜ今この時期に推進しているのか、ということに関してシンドゥ氏は「当社では今後のはっきりしたビジョンを持っている。しかし、ネットワーク業界全体が今後どのように進んでいくかという、明確なビジョンを持つべきだと考えたからだ」と述べる。さらに、「仮想化、アシュアランス(信頼性・確実性)の両者が、ネットワーク業界以外も含めて重要になってきたというトレンドがある」という。
ここでいう仮想化とは、「できるだけ幅広い顧客層とインフラを共有することで、サービスのコストを極小化する」(同氏)こと。本来、仮想化とアシュアランスはトレードオフであった。これは専用線がなぜ高いか、を考えればわかることだ。しかしインフラネット構想では、この2つの両立を目指しているという。
「この構想には現在、当社以外にもOracle、IBMなど25社程度の企業が参加しているが、オープンフォーラムという形に持っていきたいので、今後も幅広く参加を訴えていきたい」(シンドゥ氏)。
■ URL
ジュニパーネットワークス株式会社
http://www.juniper.co.jp/
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( 石井 一志 )
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