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「大規模DWHと無人POSを両輪に」-日本NCR共同社長


左より、代表取締役共同社長の細井氏とフクシマ氏、代表取締役会長の本田氏
 日本NCR株式会社は9月21日、記者会見を開催して企業戦略についての説明を行った。同社では8月4日に、細井英樹氏の代表取締役副社長から代表取締役共同社長への昇格と、グレン・S・フクシマ氏を執行役員共同社長に任命したことを発表していたが、9月21日に開催された臨時株主総会で、フクシマ氏は正式に代表取締役共同社長へ就任。そのお披露目も兼ねての会見となった。

 会見ではまず、代表取締役会長の本田敬吉氏が「縦軸と横軸」についての説明を行った。ここでいう縦軸とは、DHW(データウェアハウス)を担当する「テラデータ」、ATMなどの金融機関向けソリューションを扱う「金融システム」、POSレジを中心とする「流通システム」の3事業部に、「カストマー・サービス」と、紙などのサプライを扱う「システム・メディア」を加えた5つの事業部を指す。

 もう1つの横軸とは「会社のインフラ」、つまり人事、財務・経理、調達、法務、社内ITなど、各事業部を横断的にサポートする各リソースを意味するもので、「世界企業として最も能率のいい経営を展開するためには、縦軸と横軸をいかに有機的に絡ませていくかが重要」と本田氏は主張する。

 これはワールドワイドでの話なのだが、日本ではどうすべきなのかという点について、本田氏は「相似形」を強調。「米国を除くと単一国家で最大の売上(全体の約1割)を占める日本でも、本社の相似形で運用すれば混乱が起きない」とする。そこで、「企業は有機体なので杓子定規にはいかないが」と前置きしながらも、細井氏に縦軸を、フクシマ氏に横軸ををそれぞれ担当させることで、効率的な企業運営を目指すとした。


細井氏が普及に期待していると述べた無人POSシステム「FastLane」
 その“縦軸”を任せられた細井氏は、5つの事業部が扱う製品のうち「(大規模DWH製品の)テラデータとストアオートメーションに特に力を入れる」ことを強調。テラデータに関しては「データ量の多い超大手企業への導入が進んでいる。企業内にあるデータの飛躍的増大が予想される中で、全社規模のデータを一元的に管理する意志決定基盤として、テラデータを経営に役立ててもらいたい」と、現状と意義について述べた。

 また、「現在1けたのパーセンテージしかないパートナービジネスの割合を20%以上にしたい」と、大手SI経由の間接販売にも力を入れる意向を示したほか、ワールドワイドで提携が発表されているSAPやシーベルといったアライアンスパートナーと、日本でも協調していくことを明らかにした。「現在テラデータは、国内で150社200システムの実績があるが、今後3年で2けたの新規導入を実現したい」(細井氏)。

 一方、流通システム事業部で扱うストアオートメーションの製品としては、無人POSシステムをアピール。「現在は欧米が中心だが、日本でも受注が入ってきており、いよいよ導入フェイズになった」と述べ、無人POSシステムを核としたセルフサービスソリューションの普及に期待しているとした。またRFIDにも言及した細井氏は、「現在米本社でも研究が進められており、無人POSとともに当社の先進性を証明したい」と語った。

 “横軸”を任されたフクシマ氏も、「人事、財務、ITなどのサポート組織の強化に力を入れるが、場合によっては細井氏と5つの分野で協力しサポートしていく」と述べ、全力で支えていく旨を表明。「得意分野を生かすということで(共同社長の)役割分担を設けたが、基本的には共同責任。協力しあって、1+1が2以上の力を出して、日本におけるお客様のビジネスの発展に貢献したい」とする細井氏との両輪で、日本NCRを支えていく意向だ。



URL
  日本NCR株式会社
  http://www.ncr.co.jp/


( 石井 一志 )
2004/09/21 18:22

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