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Longhornがなくても順調?マイクロソフトの2005年度ビジネス方針


 マイクロソフト株式会社は9月30日、同社のビジネスを構成する各グループの2005年度方針説明会をプレス向けに開催した。


7つのビジネスグループと主要製品

執行役常務 ビジネス&マーケティング担当 アダム・テイラー氏
 同社は(1)Windows XPやTablet PC、Windows Mediaなどクライアントプラットフォームを担当する「クライアント」、(2)Office System関連製品の「インフォメーションワーカー」、(3)サーバー関連製品やVisual Studio、msdnなどの「サーバー・プラットフォーム」、(4)Windows CEや組込デバイスの「モバイル&エンベデッドデバイス」、(5)業務アプリケーション・サービスを担当し日本では未展開の「ビジネスソリューション」(6)MSN関連事業の「MSN」、(7)Xboxなどのゲームやコンシューマ向けハード・ソフトの「ホーム&エンターテイメント」の7つのビジネスグループあるが、今回は説明を行った執行役常務 ビジネス&マーケティング担当責任者のアダム・テイラー氏が担当する(1)~(5)のみの説明となった。

 まず「クライアント」においてテイラー氏は、9月2日より公開されたWindows XP SP2の個人・企業を通じた導入の啓発を中心とし、従来のWindowsのセキュリティ保護を継続しながらもWindows XP Professionalの優位性の理解促進とマイグレーション支援の強化を主な戦略とした。また、ハイエンドアプリケーションを扱うワークステーション向けに64ビット版Windowsへのマイグレーション準備の支援も行っていくという。

 「インフォメーションワーカー」では「オリジナルより25%安定性が向上した」というOffice 2003 SP1の展開や、Office Systemを構成するツール群のアップデート、さらに9月10日より発売された「InterConnect 2004」のような日本向け製品の展開が挙げられた。次期バージョンのOfficeについては、コミュニケーション機能の強化やビジネス情報のレポーティング機能などの方向性が挙げられたが「詳細はまだ発表できない」とのこと。

 「今後数年間でマイクロソフトに最も収益をもたらすだろう」とテイラー氏が自信を示す「サーバー・プラットフォーム」は、Windows XP SP2と同様にセキュリティ機能を向上させる「Windows Server 2003 SP1」の提供を今後6カ月~9カ月以内に提供開始。接続するクライアントPCのチェック機能やサーバー同士の負荷分散機能などによって「信頼性・可用性を向上する」とした。また、共通エンジニアリングフレームワークとなる「Windows Server System Common Engineering」および「SQL Server 2005」「Visual Studio 2005」による開発環境の統合化や、Intel・AMD製64ビットCPUのサポートを推進していくという。

 「モバイル&エンベデッドデバイス」は、9月28日より提供開始した「Windows CE 5.0」をベースとしたPDAのほか、カーナビや携帯電話など非PCデバイスへの拡張と、それらのアプリケーション開発への展開を強化するという。また、2003年に発表したT-Engineフォーラムとの協業にも触れ「Windows CEとT-Kernelを実装した開発環境を各種組み込み開発者に提供していく」と述べた。


ビジネスソリューションの主な製品群
 日本では未展開の「ビジネスソリューション」は、財務会計やCRMなどの業務アプリケーションやサービスを担当する。米Microsoftはこれらを扱うベンダーの買収を2002年より本格的に進めており、財務管理ソフトウェア「Great Plains」や、RFID対応の在庫管理ソフト「Axapta」などがあり、一部で話題となったSAP買収計画にも関連する。テイラー氏は「2005年度は日本市場を理解するための準備期間。パートナーモデルを念頭に置いて、中小企業が多いなど日本の事情に適合したビジネス展開に向け検討を開始する」とし「いずれは必ず成功を収めたい」と意欲を見せた。

 以上5つのグループの戦略を語ったテイラー氏は、現在同社が最も力を入れているとされる、Linuxに対するWindowsの優位性をアピールする「Get the Facts」キャンペーンのデータをあらためて披露。「各社が公正な判断からWindowsを選択した理由を今後積極的に引用しキャンペーンで公表していく」と、対Linux対策を強化していく意向を示した。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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( 朝夷 剛士 )
2004/09/30 20:08

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