|
ベリタスソフトウェア代表取締役社長 木村裕之氏
|
|
米VERITAS Software 会長兼社長兼CEO ゲーリー・ブルーム氏
|
ベリタスソフトウェア株式会社(以下、ベリタス)は10月6日、プライベートカンファレンス「VERITAS VISION 2004 JAPAN」を都内で開催した。基調講演では代表取締役の木村裕之氏と米VERITAS Software会長兼社長兼CEOのゲーリー・ブルーム氏が登壇し、「ユーティリティコンピューティング」や「ディザスタリカバリ」といった同社の基本戦略と市場動向を紹介した。
ITリソースを水や電気のように必要な時に容易に利用でき、使った分だけ課金できるというユーティリティコンピューティングの実現を、米VERITASが基本戦略として発表したのが2003年5月。ベリタスは今回のカンファレンスにおいて、これを実現する「具体的な製品ソリューションやサービスなどの施策を発表する」としている。
ブルーム氏によると、ユーティリティコンピューティングの実現によってIT管理の複雑性を排除し、リソースを有効活用できることで「IT部門を、コストを消費するだけの“コストセンター”から、企業経営に付加価値を与える“バリューセンター”に変えることができる」という。そして実現には一元管理が可能なソフトウェア製品がそろった「ストレージが一番近い」(ブルーム氏)。
ベリタスが提供するソフトウェア製品やサービスの特徴は、ハードウェアやOSなどプラットフォームに依存しない「ヘテロジニアスな環境」への対応、そして課題となるものから段階的に着手して統合化できる「ビルティングブロック方式」の採用だ。
ヘテロジニアス環境への対応は、さまざまなベンダー製品を単一のインターフェイスから管理可能とすることで実現している。「ハードウェアベンダーはすべて自社製品に置き換えることを勧めるが、ベリタスは業界で唯一ヘテロジニアス環境に対応するストレージ管理ソリューションを提供しているため、既存の資産をそのまま活用できる」(ブルーム氏)。これはIT管理者の手間を減らすだけでなく、企業合併によって異なるIT環境を統合する必要が発生した場合などにおいても柔軟に対応することが可能だ。木村氏はこれらによって「ITを攻めの経営に使えるようにする」と表現する。
ベリタスではストレージ以外にもサーバーやアプリケーションに、可用性やパフォーマンスの向上、管理の自動化に向けた製品を用意しており、中枢となる「Command Central」によって統合的に管理できる。米VERITASは、このほかにも9月にメールアーカイブソフトウェアベンダーKVault Softwareの買収を発表するなど、さらに製品展開を加速する構えだ。
|
|
|
コストセンターからバリューセンターに変わるIT部門
|
ベリタス製品の位置づけ
|
ユーティリティコンピューティングへの5つのステップ
|
一方、災害や人為的ミスなどによるシステム停止やデータ損害からの早期復旧を支援するディザスタリカバリは、米国では同時多発テロ以降、ユーザーが強い関心を示しているのに対し、国内ではベリタスが行った調査結果から「関心が高い企業と低い企業の間に大きな認識の差がある」と木村氏は指摘する。さらに多くの企業が復旧にかかる時間や予想される損害額を把握していないとのこと。「企業は事業の継続が前提となっているため、最悪で何日・何時間持ちこたえられるかを把握する必要がある」(木村氏)。
ベリタスは国内で7月より「VERITASディザスタリカバリコンサルティングサービス」を開始し、このVERITAS VISIONでは同サービスのコンサルティングパートナーとして日本テレコムネットワーク情報サービスとの提携を発表した。「関心は徐々に高まってきている」と、木村氏は国内での今後の展開に自信を示す。
「データマネジメント分野において日本は米国に比べて圧倒的に遅れている」と指摘する木村氏。逆に言えばこれから伸びる期待の大きいこの分野を、ベリタスはユーティリティコンピューティングとディザスタリカバリの2つの切り口から「日本に根付いた形で」(木村氏)展開を図ろうとしている。それに向け2005年には、従来米国で行っていた日本向け製品の開発や検証を国内で行う「VERITAS ジャパンエンジニアリングセンター」を開設する予定だ。
■ URL
ベリタスソフトウェア株式会社
http://www.veritas.com/jp/
米Veritas Software
http://www.veritas.com/
プレスリリース(ユーティリティコンピューティング実現への施策)
http://www.veritas.com/ja/JP/resources/press/PressReleaseDetail.jhtml?newsCI=62999_2004_10_06_pr
プレスリリース(VERITAS ジャパンエンジニアリングセンターの開設)
http://www.veritas.com/ja/JP/resources/press/PressReleaseDetail.jhtml?newsCI=62997_2004_10_06_pr
プレスリリース(KVault Softwareの買収)
http://www.veritas.com/ja/JP/resources/press/PressReleaseDetail.jhtml?newsCI=62960_2004_09_24_pr
■ 関連記事
・ 富士通と米VERITAS、堅牢Linuxシステム開発などで協業(2004/10/06)
・ ベリタス、日本テレコムの情報サービス会社と災害復旧サービスで提携(2004/10/06)
・ ベリタスと日本ネットアップ、バックアップ関連製品の販売などで提携(2004/10/06)
・ 米VERITAS、ユーティリティコンピューティングの実用化に向けた製品を発表(2004/05/06)
( 朝夷 剛士 )
2004/10/07 15:26
|