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米HPデローター氏「OpenViewのITサービス管理はこれまでの運用管理を超えた」

~HP Software Forum Tokyo 2004 基調講演

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は10月7日、2003年までの「HP OpenView Universe」を改称したプライベートイベント「HP Software Forum Tokyo 2004」を開催し、米Hewlett-Packard テクノロジーソリューショングループ ソフトウェアグローバルビジネスユニット マネージメントソフトウェア部門 バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、トッド・デローター氏が「アダプティブ・エンタープライズを具現化するHPソフトウェア」をテーマに基調講演を行った。


日本HP 代表取締役社長 兼 CEO 樋口泰行氏
 講演前に挨拶を行った日本HP 代表取締役社長兼CEOの樋口泰行氏は、日本HPの現状について「直近の四半期では前年比23%成長となり、UNIXサーバーでは1位、IAサーバーでも昨年の5位から金額で2位にシェアが上昇した。またテレビCM効果でブランド認知も10ポイント、Webアクセスも2倍にアップした」と具体的な数字を挙げ、「社内体制の統合プロセスもこの1年半でうまく進んでいる」とした。

 次に「金融でも通信でも驚くような買収があり、世の中の変化するスピードも加速している」とした。HP自身によるコンパックとの合併の際には「いかにシステムの柔軟性が大事か、自身の経験で感じた」という。さらに「個別に最適化されたシステムの膨大な運用費を抱え込む余裕を企業に持ち得ない状況になっている」とし、企業戦略を支えるためには、ITインフラではオープンで接続性のあることが重要とした。

 そして「垂直的なIT基盤を水平な共通基盤としてトータルに管理することがチャレンジのひとつになる」と語った。HPの提唱する“アダプティブエンタープライズ”は、簡素化、柔軟化されたシステムに対して、さまざまなレベルで管理手法を整備し、こうしたビジネスニーズに柔軟に対応できるシステム基盤の実現を目指すものといえる。

 企業戦略を見ても、ひとつのビジネスモデルは長く通用しなくなり、「リフレッシュしないと生き残れない」ため、これを支えるITへの依存度が高まっているとした。これを踏まえ、「経営サイドからはブラックボックスに見えるが、ビジネスとITを同期させることこそが重要になる。この意味では、IT担当には経営的視点が求められるだろう」と語った。


米Hewlett-Packard テクノロジーソリューショングループ ソフトウェアグローバルビジネスユニット マネージメントソフトウェア部門 バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、トッド・デローター氏
 デローター氏は、現在の企業を取り巻く状況として、企業やプロダクトそのもののライフサイクルの短期化に加え、ビジネスプロセスでも所用期間が短縮され、携帯電話やPDAをはじめとした接続デバイスの増加などとあわせ、「昔はシンプルだった問題への対処が非常に複雑になり、現在は動的な環境に対する即座の反応が要求されている」とした。

 そうした意味で「イチローのチャレンジとCIOのITオペレーションは同じ」とし、変化対応にはきちんとしたストラクチャがその解決策になるとした。HPではマネジメントソフトウェア、モビリティ、リッチデジタルメディア、セキュリティソリューションの4つを重要な成長分野と位置づけているが、運用管理への戦略的投資がこれに当たるという。

 運用管理ソフトについては、「人間中心のマニュアルプロセスでは、エラーが発生する可能性が高い」とし、複雑性を緩和して自動化すること、また障害原因となるルーターなどの機器停止に対する分析能力が重要とした。現在一般にIT予算の約70%が既存システムの保守に費やされ、新規事業への予算は限られているのが現状だが、HPでは合併に伴うシステムの再編にOpenViewを用いることで、保守費用の割合を45%にまで下げることに成功しているという。さらに「今後は30%にまで下げることを目標としている」とのことだ。

 HPではこうした自社のリソースを元にして、アイデンティティ管理分野ではBoltimore Technologies、TruLogica、SOA分野ではTalking Blocks、運用管理ソフトと密接にかかわる構成・変更管理の分野ではNoVadigmとConsera、ITサービス管理分野ではCEC、ManageOneなどを買収することで“アダプティブエンタープライズ”を実現する運用管理ソフトウェア製品のポートフォリオを拡大してきた。デローター氏は「運用管理のソフトがコントロールシステムとなることが重要で、顧客はこれまでの投資を有効活用できる」とした。


 日本HPが10月6日に発表した最新ソフトウェアとなる「HP OpenView Business Process Insight(BPI)」には、これら企業買収による技術が製品として統合されたもの。障害によるサービス停止のビジネスへのインパクト、実際のビジネス上の価値の悪化を分析できるという。同氏は「ITはビジネス視点を持つことが重要。ITサービス管理の機能はこれまでのIT管理を超えている」と語った。またソフトウェアは個別の機能がモジュール化されているため、導入の際に不必要な変更を強要せず、「問題を解決するソリューションを、モジュールを統合した形で実現できる」と述べた。

 米調査会社の調査では、運用管理の効率を24%向上し、変更管理要求でのダウンタイムを84%低減するなどのサービス品質向上により、1年間で平均157%のROI向上を達成できるという。デローター氏は「こうした数字だけでもITサービス管理を考えるだけの材料といえる」とし、「コスト節減の意味は、新規ビジネスの要となる開発への投資など、サービスのパフォーマンスをビジネスとつなげることが可能となる」とした。

 OpenView製品部門は、企業買収の売上増を加味していない数字で26%の成長を遂げているという。発表済みの新製品に加え、今後は20製品のラインアップが予定されており、「BEAなどの戦略的パートナーとも連携して、サービス管理へと製品を拡大していく」と語った。



URL
  HP Software Forum Tokyo 2004
  http://www.hp-swf2004.jp/
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/

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( 岩崎 宰守 )
2004/10/07 16:25

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