10月7日から8日まで、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、とIBMビジネスコンサルティング サービス株式会社主催による「IBM Rational Software Development Conference」が開催されている。7日にはRational3アミーゴの一人であり、IBMのフェローとして活躍しているグラディ・ブーチ氏が6年ぶりに来日し、「ソフトウェア開発の未来」と題し、将来ソフトウェアがどのようになるのかについての講演を行った。今回のブーチ氏の講演では多くのプレス関係者が詰めかけ、講演に先立って挨拶に立った日本IBM 執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦氏がIBM関係者に立ち見のプレス関係者に席を譲るように促したほどである。
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米IBM Rationalソフトウェアグループ IBMフェロー グラディ・ブーチ氏
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講演の中でブーチ氏は、これまでのコンピュータ業界全体と米IBMやRationalの歴史について触れ、どのようにコンピュータとソフトウェアが発展してきたのかという経緯を説明した。その上でブーチ氏は、今後はソフトウェアは多くのデバイスに組み込まれて利用されるようになることで、平均的な人からはソフトウェアが隠されて見えなくなるだろうと語る。しかし、その一方で生活全般でソフトウェアへの依存度が高まり、ソフトウェアなしの生活が考えられなくなるだろうと予想する。
将来の世界情勢の変化についても触れ、日本ではすでに問題となっている高齢化が世界規模で進み、さらに水不足や、これまでになかったタイプのサイバーテロといった憂慮すべき問題が発生することが予測されるとしている。
また、ソフトウェアの開発者も、これまでのようにコンピュータの専門家ではなく、その他の分野の専門家が専門知識を生かした開発を行うようになるだろうと述べ、ソフトウェア開発そのものの専門家は減少すると見ている。さらにブーチ氏は、今後はソフトウェアの特許問題、セキュリティ問題など法的な問題が増えるとして「将来的にソフトウェア開発チームには、弁護士を入れなければならなくなるでしょう」と述べた。
講演の最後にブーチ氏は「これからソフトウェアの依存度が高まることで、ソフトウェア開発者の責任は非常に重くなるでしょう。だからこそソフトウェアの開発というのは非常にエキサイティングな仕事といえるのです」と締めくくった。
■ URL
IBM Rational Software Development Conference
http://rsdc.seminar.co.jp/
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
( 北原 静香 )
2004/10/07 20:36
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