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イキソス、加Open Textと独IXOSの事業統合による国内事業戦略を発表


 イキソスソフトウェア株式会社は、加Open Textによる独IXOSとの事業統合を受け、国内事業戦略と今後の製品ロードマップを発表した。

 Open Textは世界で最初にインターネットサーチエンジンを開発し、Yahoo!に提供した企業で、現在はサーチエンジン技術とともに、コラボレーション、文書管理、ワークフローなどの機能を持つWebベースのソリューション「Livelink」を中心とした事業を展開している。

 加Open Textでは、2003年後半より独IXOSに株式取得のオファーを提示し、現在までに90%の株式を取得している。今後は残り10%の取得を急ぎ、これが完了した段階で経営陣も完全に統合される。2004年9月よりイキソスソフトウェア株式会社の代表取締役社長に就任した羽根ロバート氏は、加Open Textでアジア地区のパートナーセールス責任者でもある。なお事業統合のステップは現在すでに進展中だという。


イキソスソフトウェア株式会社 代表取締役社長 羽根ロバート氏
 Open Textではこれまで、多くの企業買収により事業を拡大してきた。企業の一般的な買収戦略として羽根氏が挙げたのが「欠けている技術、顧客ベース、即戦力となる人材」の3つを獲得すること。IXOSのアーカイブ技術はもちろん、両社は地理的にも北米とヨーロッパに分かれるため、顧客ベースも大きく違う。両社は現在の従業員数、また売上をみてもほぼ変わらない規模となるため、羽根氏は「IXOSとの統合はこれまでの買収のなかでも最大規模になる」と語った。

 またIXOSでは日本法人による事業を7年前より行っていた一方で、これまでOpen Textでは、キヤノン販売株式会社、インフォコム株式会社のリセラー2社を通じた国内販売のみを行っており、買収にあたっては日本市場へ参入できる点も重視されたという。

 イキソスではSAPアーカイブでは国内で9割以上のシェアを誇っており、特定層を対象としたものながらも、国内顧客企業への認知度は高い。Open Textでは、日本法人について「成功も収めブランド力もある」(羽根氏)“イキソスソフトウェア”の名称を継続することも検討されている。また現在のところドイツの法律により、100%子会社でないと企業名を変更できないため、独IXOSもそのまま残っているが、ヨーロッパでも同様にIXOSの社名が残る可能性もあるようだ。


イキソスソフトウェア株式会社 取締役副社長 勢山登喜子氏

統合による両社技術のECM製品へのマッピング
 旧イキソスでの営業・マーケティング担当副社長から、新たに国内の実務全般を担当する取締役副社長に就任した勢山氏は、「互いに顧客は大手企業となるが、これまではSAP導入企業を中心に直販による営業を行ってきた。これまで弱かった金融分野などへも市場が広がる可能性が出てきた」と語る。

 イキソスでは2002年よりExchange Server向けのアーカイブソリューションを販売していたが、当時はメール保存のニーズがそれほど強くなかったという。最近は相次ぐ個人情報漏えい事件などの影響で、多くの個人情報や、漏えいすると問題のあるデータ取り扱う企業の間でメール保存に対するニーズは広まっており、イキソスでも「7月からの四半期で、昨年1年間の売上を超え、売上が急速に伸びている」とのことだ。

 メールアーカイブソリューションの市場規模をイキソスでは40億円、5年後に150億円に達すると予測しており、買収に伴ってパートナーと連携した販売も開始している。今後は2005年4月の施行を控えた個人情報保護法や、e文書法などを追い風として、さらなる事業の拡大を図っていく。パートナーについては日立グループ2社との提携が発表されているが、今後はあと数社と提携を結ぶ予定とのことだ。

 両社の統合をプロダクトの補完という面から見てみよう。Open Textの主力製品である「Livelink」は、メール/グループウェアの機能を備えた「Notesに似た製品」(勢山氏)で、ワークフローの機能もそなえる。このほかWord/Excel文書、PDFといった非構造データを、配布、流通、活用、保管、破棄までのライフサイクルで管理することもでき、これらをOpen Text独自の全文検索エンジンから活用できる。さらに全データへのアクセスログも保存でき、監査に耐えるオーディットの機能を備える点が特徴といえる。この点では、ジュネーブにあるISOの統括団体が採用したことからも注目されているという。

 メールデータは当然ながら、こうした非構造化データ、さらにアクセスログなどを、イキソスの技術を用いてアーカイブの対象とすることで、監査対象となるデータ、法令により保存が義務づけられたデータなどを、Livelinkの機能によりシームレスに長期保存することが可能となる。また情報漏えいなどの事故の際にも、詳細なトラッキングが行える。

 こうした製品の開発は、現在進められている最中で、「検索エンジンをメールアーカイブソリューションに連携した製品は年内に発表できる見込みで、機能全体を統合した製品開発に1年程度かかる予定」(勢山氏)とのこと。羽根氏は今回の両社による業務統合により「売上と顧客ベースで世界最大のECM(Enterprise Contents Management)ベンダーになる」とした。



URL
  イキソスソフトウェア株式会社
  http://www.ixos.co.jp/
  ニュースリリース(日立グループ2社との連携)
  http://www.ixos.co.jp/news/news_041006b.html

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( 岩崎 宰守 )
2004/10/12 11:08

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