ベリタスソフトウェア株式会社(以下、ベリタス)が10月6日に都内で開催したカンファレンス「VERITAS VISION 2004 JAPAN」では、同社の基本戦略となる「ユーティリティコンピューティング」や「ディザスタリカバリ」に向けた製品群やサービスがユーザーに披露された。基調講演で代表取締役社長の木村裕之氏は「米国と比較して日本は導入が遅れている」と指摘していたが、カンファレンスには1700人以上の経営者やIT担当者らが集まり、期待や注目度の高さをうかがわせた。
利用者にとって関心が高いのが「ユーザー」と「事例」だ。どのような企業が利用し、どんな成果があったのか。例えばディザスタリカバリにおいて、本当に短時間で復旧したのかなどは気になるところだ。米VERITAS Software(以下、米VERITAS)会長兼社長兼CEOのゲーリー・ブルーム氏、アジア・太平洋地域を統括する上級副社長兼ゼネラルマネージャーのスティーブ・レオナルド氏、そして木村氏に伺った。
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米VERITAS Software 会長兼社長兼CEO ゲーリー・ブルーム氏
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アジアパシフィック/ジャパン 上級副社長兼ゼネラルマネージャー スティーブ・レオナルド氏
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ベリタスソフトウェア株式会社 代表取締役社長 木村裕之氏
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■ ユーティリティコンピューティング、日本では「規模は問わない」
ブルーム氏が米国のユーザー事例として挙げるのが、米国最大手のオークションサイト「eBay(イーベイ)」だ。24時間常に出品、落札などの取引が行われ、夜間や注目商品の出品時など急激なアクセスの集中もあるため高い可用性やパフォーマンス、緊急時にもダウンタイムなしでの運用が求められる。
ブルーム氏は「業種はあまり関係ないが、eBayのようなWebサービスを提供しているユーザーからの関心が高い」と述べ、「最近では金融系企業のユーティリティコンピューティングへの問い合わせや導入検討の話が増えている」とユーザー層を説明する。「会社規模では、独自の要件が多い大企業が中心。中小規模の企業はxSPが提供するホストサービスの利用が進んでおり、間接的にサービスを提供していることになる。ただしバックアップ製品については規模を問わず提供が進んでいる」(ブルーム氏)。
一方、日本はどうか。木村氏によると「ITの問題点が浮き彫りになってきており“このままではITが経営の足を引っ張りかねない”という理解が進んできたことから、ようやく気運が高まってきた」とのことで、全体的にはこれからのようだ。その“気運を高めている”ユーザーとは、やはり高い可用性やパフォーマンス、信頼性を必要とする金融・通信分野。ただしここでは「CIOといったITのまとめ役がいてITを武器にできる“勝ち組”と、SIerなどに丸投げして旧体制のままとなっている“負け組”との差がはっきりとしてきた」という。
会社規模では中小規模市場を対象に直接アプローチを行う「インサイドセールス」を4月より開始するなど、「規模を問わない」ポリシーでの展開を図っている。同社製品はバックアップやパフォーマンス管理など各種製品を積み重ねて統合化できる「ビルディングブロック方式」を採用しているため、「できるところから少しずつ対応していけばいい」(木村氏)。
木村氏は導入企業の具体的な社名などは挙げなかったが、繰り返し「重要なのは経営サイドからITを見直すこと」を強調する。ベリタスでは“気運の高まり”を受け、経営から見たコンサルティングやセミナーを強化する方針だ。
■ ディザスタリカバリが必要となる一番の要因は「システム障害」
ディザスタリカバリについては、米国では同時多発テロ以降、急速な関心の高まりを見せている。ブルーム氏によると、この事件で100社以上がIT環境の損害を受けつつも早期復旧に成功し、会社を存続させることができたという。そして3年たった現在、いくつもの事例を公開可能となり紹介を始めているとのことだ。
日本では以前よりテロへの警戒感が高まりつつあるものの、むしろ地震や台風などの自然災害の方がIT環境への損害要因として思いつきやすい。しかしディザスタリカバリを必要とする身近で一番大きな要因はシステム障害だ。対策としてバックアップは必要最低限であり「どこから復旧させるかの優先度をあらかじめ設定し、いかに効率的に復旧させるか、どの程度時間がかかるかなどの備えが必要」と木村氏は訴える。どのようにして障害から復旧させたか。残念ながら日本では会社のイメージへの影響を恐れほとんど公開されることがないそうだ。
ベリタスではディザスタリカバリにおいてもコンサルティングやソリューションの提供を7月に発表したほか、経営者らを対象としたセミナーを開催している。レオナルド氏は「先日開催したセミナーでは400人もの経営者が集まり関心の高さを感じた。2005年早々にも具体的な行動に現れるのではないか」と期待を示した。
■ URL
ベリタスソフトウェア株式会社
http://www.veritas.com/jp/
米VERITAS Software
http://www.veritas.com/
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( 朝夷 剛士 )
2004/10/12 10:59
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