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リバティ・アライアンス、国内での適合性試験を実施


 アイデンティティ管理技術の標準化団体リバティ・アライアンス・プロジェクトは10月18日、国内での適合性試験の実施、メンバー会議の開催に伴い記者会見を行った。

 リバティアライアンスは、アイデンティティ管理製品の連携をサポートする技術仕様を策定している標準化団体。米Adobe Systemsなど7社が新たにリバティアライアンスに加盟することもあわせて発表され、会員企業・団体数は世界161に拡大した。


リバティ・アライアンス エグゼクティブディレクター ドナル・オーシェ氏
 9月13日付で新設されたエグゼクティブディレクターに就任したドナル・オーシェ氏は、10月11~15日にかけて行われた適合性試験について、「ボードメンバーであるNTT、NTTドコモ、ソニー、スポンサー企業のNEC、シャープなども参加し、これまでで最大規模となった」とその成果を強調した。

 そして「日本では、銀行口座の開設などでの身分証明をはじめ、個人認証として“はんこ”が広く使われており、持っていない人はいない。これは2500年の歴史を有するアイデンティティ技術そのもの」とし、日本市場での2004年の戦略として、「自動車メーカーや金融機関、ゲーム関連企業もリバティアライアンスの技術に関心を寄せている。より多くの企業で、われわれのスペックを採択して欲しい」と語った。


リバティアライアンス バイスプレジデント ティモ・スキッタ氏

リバティアライアンスの3つのアーキテクチャ
 リバティアライアンス バイスプレジデントのティモ・スキッタ氏は、米Nokiaでテクノロジープラットフォーム Webサービス標準化担当シニアマネージャーも勤めている。「市場では、場所を問わず、どんなデバイスからでもアクセスできるニーズは高まっている」としたスキッタ氏は、「どんなデバイス、アプリケーションにも、アイデンティティ管理が必須条件になる」とし、「リバティアライアンスの目的はアイデンティティ管理の標準化であり、固定通信網だけでなくモバイルインターネットにも対応し、異なる環境をシームレスに接続できるソリューションを提供していく。2005年末までに対応クライアント数は4億を超えるだろう」と語った。

 そして「リバティアライアンスでは、技術的問題を解決するだけでなく、連携アイデンティティ管理のビジネス上の問題、プライバシー保護の要件も満たす」とした。ビジネス上の要件については「運用展開の主な問題は相互接続性とコストになる」としたスキッタ氏は、「プロプライエタリなアイデンティティ管理技術を用いたソリューションでは、ビジネス拡張が容易にできない」と述べた。

 リバティアライアンスでは、こうしたビジネス要件について、「メンバー企業のユースケースに基づいて課題を明らかにしている」という。すでに連携技術を実装するWebサービスのスペックのガイドライン、また展開での検討材料を企業に提供するガイドラインが策定されている。また「ヨーロッパ、アジア、アメリカではそれぞれ法規制が異なり、このすべてに対応できる技術も求められる」とし、ビジネス/ポリシー文書と、技術で対応するとした。

 スキッタ氏は、「こうしたビジネス上の要件への対応を実証するためには、相互運用試験が非常に重要になる」と、先週行われた適合性試験の背景を述べた。リバティアライアンスでは、オープン標準技術を土台とした3つのアーキテクチャを元に、そして他の標準化団体とも協業してアイデンティティ連携を実現するとした。こうしたアイデンティティフレームワークにより企業間の信頼を創出できれば「サービスやデータの所在を気にせずにトランザクションを成立できるため、連携モデルによる新たなビジネスモデルの構築も可能となる」と語った。


リバティアライアンス 日本サブチーム 駒井義憲氏
 ボードメンバーでもあるソニーに所属するリバティアライアンス 日本サブチームの駒井義憲氏は、国内での活用事例を紹介した。ゲームポータルサイト「なつゲー」では、リバティアライアンスの仕様を用いた認証プラットフォーム「マスターID」を用い、サービス提供事業者間でのシングルサインオンをすでに実現している。このシステムでは、各社の認証システムに、統合認証プラットフォームとの連携インターフェイスを実装することで、認証結果のやり取りを可能としている。

 またNTTデータと日本航空では、出張申請から旅費支払いまでの業務効率化を図るため、出張旅費申請システムとJALオンラインの予約発券システムを連携している。将来的には仕様を拡張し、法人利用登録により広くアイデンティティ連携のサービス提供を可能とするという。またサーバー型放送技術の標準化団体であるTV Anytimeと提携して現在仕様を検討しているとのことで、デジタルTVによる各種コンテンツへのシームレスなログインを実現するアイデンティティ連携を実現していくと述べた。


ゲームポータル「なつゲー」のバックエンドシステム構成イメージ リバティアライアンスに準拠したインターフェイスを各事業者の認証システムに実装する NTTデータの出張精算システムとJALの予約発券システムの連携事例


URL
  リバティ・アライアンス・プロジェクト
  http://www.projectliberty.org/jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/10/18 15:50

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