日本電気株式会社(以下、NEC)と米i2 Technologyは11月1日、日本国内と中国をはじめとしたアジア地域におけるSCM事業での提携を発表した。
今回の提携では、i2開発のWebベースSCM製品である「SCOS(Supply Chain Oparating Service)」と、NECのシステム構築ノウハウを統合し、NECのIPFサーバーをメインのプラットフォームとしてSCM製品の拡販を図っていく。両社では、20名体制の共同拡販チームの結成、i2製品の動作検証を行うコンピテンシーセンター、デモセンターの開設のほか、業種業務別テンプレートの共同開発も行う。またNECではi2製品の担当エンジニアを2007年までに海外を含め少なくとも300名体制に拡充する。
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NEC 代表取締役副社長 川村敏郎氏
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NECでは、経営体制の整備、事業の再編統合といった第1フェーズを終え、いま経営改革は第2フェーズにさしかかっている。NEC 代表取締役副社長 川村敏郎氏は、現在22.4%となっているNECの海外事業の売上高比率について「国内だけでは成長戦略にも限界がある」と述べ、2007年までにこれを30%に引き上げたいとした。
海外市場の売上は、ネットワークを中心としたハードウェアプロダクトが半数以上の比率を占めているという。「第2フェーズでは事業構造をソリューションビジネス中心へと切り替え、事業の柱としていく」とした。
「近年は日本企業が中国での事業を積極化している。生産基地移転によるコスト面の改善だけでなく、中国自身を巨大なマーケットと認識し始め、経営リソースの多くをシフトしている」とし、「今後は、特に中国はじめアジア太平洋地域での事業を成長戦略の柱としたい」と語った。
さらにNECではこの数年、コアコンピタンスを経営資源へ集中する経営方針の下、ソリューション領域におけるパートナーとのコラボレーションにより、事業の拡大発展を図る戦略をとっており、日本企業の海外進出に伴い、「企業間のコラボレーションがよりダイナミックに行われていく」との見方も示しながら、今回の協業について「NECの持つ従来のスキルセットに、i2のコアコンピタンスであるSCMをインテグレートするもの」とし、「今のSCM事業の受注ベース260億円の売上を400億円に伸ばしたい」と語った。
そして「市場の変化を先取りして経営のかじを取ることが、今後の勝敗の鍵になる」とし、「いままではヒューマンスキルで行われていた経営での意思決定をITで武装化し、経営の効率化と競争優位に役立てるマネジメントの基盤を提供していく」とSCMの重要性を訴えた。
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米i2 最高経営責任者 サンジブ・シドゥ氏
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i2テクノロジーズ・ジャパン 代表取締役社長 横溝陽一氏
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米i2は、1995年に創業し、これまで1000社の顧客企業を持つSCM専業ベンダー。最高経営責任者であるサンジブ・シドゥ氏は「我々のSCMは、激化する市場の変化に対応することにフォーカスしている」とした。同氏は「複数のシステムに蓄積されたデータを同期化し、需要予測の変化に応じた業務フロー設計とサプライヤーへの情報提供が可能になる」とし、「PDCAサイクルを短期化し、需要変化や競合の価格改訂に対応できる環境を提供する」と述べた。
i2テクノロジーズ・ジャパン 代表取締役社長 横溝陽一氏は、国内企業のSCM導入率は現在1割以下で、今後は企業のニーズが顕在化し、2007年までに大幅な成長が予測されるとの調査に触れ、i2のSCM製品であるSCOSについて「これまでSCMに求められたの在庫削減での総資産の圧縮、倉庫管理費用の圧縮といった課題だけでなく、需要変動対応の迅速化、収益の向上といったこれからのニーズを実現する次世代のSCM」とした。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
i2 Technologies
http://www.i2.com/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0411/0101.html
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( 岩崎 宰守 )
2004/11/01 16:30
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