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セキュアなクライアントとして再びSun RayをアピールするSun

Network Computing 2004 Autumn

米Sun Microsystems CIO ビル・バス氏

Sun Rayのイメージ
 サン・マイクロシステムズ株式会社は11月5日、定例のプライベートカンファレンス「Network Computing 2004 Autumn」を開催した。今回は「セキュリティ&イノベーション」と題し、情報漏えい対策や2005年の個人情報保護法施行を強く意識した製品やソリューションの紹介に一段と力が入れられている。基調講演には米Sun Microsystems CIOのビル・バス氏が登場し、取り組みを説明した。

 バス氏がまず紹介したのはシン・クライアントシステムの「Sun Ray」。クライアント端末にOSやハードディスクを装備せず、すべてサーバー側で集中管理することで、端末ごとのパッチ管理やウイルス対策などを不要とし、セキュリティレベルの向上や管理コストの削減を実現するというもの。どの場所にある端末からでも各ユーザーに配布されるJavaカードを差し込むことでネットワーク経由でユーザー認証を行い、デスクトップを呼び出すことができる。「ラップトップを持ち運ばなくてもカードがあればオフィス、自宅、インターネットカフェどこからでも同じ環境で仕事ができる」(バス氏)。

 Sun Ray自体は新しいものではなくSunは以前から取り組んでいるが、普及には至っていない。しかしクライアントレベルにおけるセキュリティ対策の重要性が増していることや、管理コスト・複雑性の増大などによりWindows以外のクライアント端末を求める声が徐々に高まってきていることから、問題の解決策として同社でも再び展開に注力を始めている。今回の基調講演では、プレゼンテーションを従来のデスクトップのほか、国内では未発表の無線LAN対応ノート型のSun Rayを使いJava Desktop System上のStarSuiteで行うことで実用上問題ないこと、またサードパーティー製品を利用することでSun Ray上でWindowsを利用できるデモを行い、クライアントレベルでの乗り換えが容易であることをアピールしていた。

 またJavaカードによる認証はデスクトップの呼び出しだけでなく、Java Enterprise System上で動作するアプリケーションや、同社のストレージシステム内のデータへのアクセス権限などにも適用可能で、シングルサインオンを実現する。

 Sun Rayはどの端末からも自分のデスクトップを呼び出せるのが特徴だが、Sun Ray端末がない場所ではどうすればいいのだろうか。バス氏によると、Java Enterprise Systemで構築された個人ポータルへWebブラウザや携帯電話からアクセスすることでアプリケーションやデータを利用することができるという。Sunが目指すモビリティとは、PCを持ち運ぶのではなく、出先にある端末や携帯電話などからいつもの環境を呼び出したり、データ利用を実現するということだ。

 バス氏は最後にデスクトップや端末、サーバーなどのコスト比較を挙げSun製品の優位性をアピールし、特に「2万人の企業で3年間にかかるコストを比較したとき、Java Desktop SystemはWindows XPより4800万ドルも安い」と強調した。


デスクトップOSのコスト比較 クライアント端末のコスト比較 同スペックサーバーのコスト比較


URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  Network Computing 2004 Autumn
  http://jp.sun.com/nc2004/

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( 朝夷 剛士 )
2004/11/05 18:09

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