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ITサービスは主要メーカー系ベンダーが上位独占-IDC調査


「リーダーシップグリッド」ツールを用いた分析結果
 IDC Japan株式会社は11月8日、2004年3月期の国内主要ITサービスベンダーの連結売上高ランキング、および競合分析結果を発表した。

 これによると、連結売上高では、富士通、日本IBM、日立、NECの主要メーカー系ITベンダー4社が上位を占め、続いてNTTデータが第5位となった。上位5社が3%前後を超える成長率を維持する一方、ITサービス売上規模2000億円未満のベンダーの中には、低成長またはマイナス成長を強いられたところもあった。

 IDC Japan独自の「リーダーシップグリッド」ツールを用いた分析によると、国内ITサービス市場における上位ベンダー5社のポジショニングは、富士通、日本IBM、日立、NECの上位4社が機会獲得能力とシェア獲得能力がともに高い「Leadership」に分類された。また今後2~3年を事業構造の転換期間と位置づけているNTTデータは、機会獲得能力は高いが、シェア獲得能力にやや課題のある「Legacy」に分類された。

 シェア獲得能力でトップとなったのは富士通。次いで日本IBM、NEC、日立、NTTデータの順。富士通は、取引先としての支持率や認知度が高く、国内最大規模の拠点と人的資源を有するオペレーション力が評価されたという。一方、機会獲得能力で最も高い評価となったのは日本IBM。次いで富士通、NEC、日立と続いた。日本IBMは、旧PwCコンサルティングとの統合効果を活かして、顧客の変革支援を目指した経営コンサルティングや業務アウトソーシングを積極的に手がけることで存在感を増し、主要ベンダーのなかで最も高い売上成長率を維持したことが評価結果に反映されたという。

 国内ITサービス市場は、過去5年間で成長率が最低となった2003年(1.6%)を底に回復傾向にあるが、顧客による投資選別の目の厳しさは変わらず、ベンダー側の交渉力が弱いなど、市場環境の厳しさを残しているという。また、開発遅延・中断・先送り案件の発生などによる不採算案件の増加や価格引き下げ要求など、収益性への懸念が広がっているとIDCは指摘している。

 不採算案件の再発防止には、精度の高い見積もりと要件定義のほか、責任範囲やサービスレベルの明確化・可視化、プロジェクト管理とリスク対策の徹底が必要。さらに競合他社には短期間で模倣できないノウハウ・スキル・組織力を確立し、そのような無形資産を効率的に再利用することで、付加価値向上につながる提案力や、業界標準決定力につながる技術経営力を強化するなど、顧客に対する交渉力を上げるための施策が重要となるとしている。



URL
  IDC Japan株式会社
  http://www.idcjapan.co.jp/


( 朝夷 剛士 )
2004/11/08 18:08

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