インテル株式会社は11月10日、「Intel Solutions Day 2004」を開催し、米Intel セールス/マーケティング事業本部 副社長 兼 ソリューション市場開発事業部 ディレクタのジョン・E・デイビス氏が「インテルのエンタープライズ・ソリューション」 をテーマに基調講演を行った。
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米Intel セールス/マーケティング事業本部 副社長 兼 ソリューション市場開発事業部 ディレクタ ジョン・E・デイビス氏
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Intelは近年、コンピューティングと通信を融合した“モビリティ”の普及拡大を図っている。デイビス氏は「Centrinoの発表により、ノートPCへの無線LAN搭載が普及した」とした。2003年には全体の65%に無線LANが搭載されるまでになっており、「2005年には95%に、将来的には100%に限りなく近づき、ますます通信できる環境が整うようになる」とした。さらに「今後はすべての通信機器はコンピューティングパワーが増す」との見通しのもと、「モビリティは、人々の仕事の方法を変化させる要素として、ビジネスの変革に寄与するだろう」と語った。
CPUを中心としたハードウェアベンダーとして位置付けられるIntelだが、「ソフトウェア・サービスをあわせた業界標準のビルディングブロックによるソリューションで価値をを提供していく」とした。この裏づけとして、エンタープライズソフトウェアベンダー各社の稼動プラットフォームの推移を紹介した。SAPの新規導入プラットフォームのうち69%はIPFを含むIAプラットフォームだという。またBEAの稼働環境は、1999年の4%から2003年には28%にまで拡大しており、「2004年には40%に達するだろう」との見通しを示した。Oracle 9i RACでも、稼働環境の半分を占めており、企業環境におけるインテルアーキテクチャは確実に広がっている。
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ノートPCのうち無線LAN搭載機種の占める割合の推移
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エンタープライズソフトウェアの稼働環境に占めるインテルアーキテクチャの割合
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Intelではモビリティによるビジネスの変革の先に、エンタープライズにおけるサービス指向アーキテクチャであるSOEの実現を目指す戦略を構想している。そのために必要となる技術として、サービス指向のソフトウェア、仮想化できるハードウェアリソース、自律的なデータ基盤、接続環境に影響されない利用技術、ファイアウォールを超えて利用できるサービスの5つがポイントになるとした。
このうちハードウェアの仮想化技術については、クライアント用CPU向けのVanderpool Technology(VT)に改良を加えたSilvervale Tecnology(ST)をMonteciteに実装の予定だという。また常時接続でない環境で利用できるための技術については、ISV各社と協業し、開発を進めていくとし、「SOEはインテル単独では実現しない。他ベンダーと協力して業界のエコシステムのリーダーシップを推し進めていく」と語った。
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11月9日に発表された9MB L3キャッシュ搭載の新Itanium 2
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次に11月9日に発表したItanium 2に触れた。「新たに9MB L3キャッシュを搭載したことで、データベースのベンチマークが約15~25%向上した」という。そして「Itanium 2の発表後2年間で、クロック周波数は2倍に、キャッシュは3倍になった」とした。
Itanium 2には3つの製品ラインがある。ひとつはRISCやメインフレームからの移行ニーズをターゲットとしたクロック1.6GHz、L3キャッシュ 9MBの上位製品。さらに複数の2Wayサーバーをクラスタ構成とする用途を前提としたHPC向けの製品があり、これは駆動クロックは1.6GHzながらL3キャッシュを3MBとすることで価格を押さえている。そしてブレードサーバーやラックサーバー向けの低電圧版があり、こちらは1.3GHz駆動、L3キャッシュ 3MBでTDPは62Wとなる。「多くのデスクトップ用CPUの70~90Wより低い」点を強調した。
RISCやメインフレームから移行の点で競合となるIBMのPOWER5との比較については「性能面で優位な部分もある」としながら、「1GFlopsあたりの価格でメリットがある」とした。さらにNASAへの大規模システムが6カ月と短期間で納入できた点についても汎用であるメリットを挙げた。
IPFプラットフォームでの稼動アプリケーションについても、「昨年の2倍となる2000以上に達し、今後1~2年でさらに倍になる」と予想した。11月8日に発表されたTOP500ベンチマークの結果を見ても、うち83システムをIPFプラットフォームが占め、「普及は確実に広がっている」とした。
今後のロードマップについては、デュアルコアを採用したMonteciteが2005年後半に発表予定とした。これには、OSからは4CPUと認識するマルチスレッド技術が、IPFプラットフォームでは初めて実装されるほか、24MBと大型化するL3キャッシュのエラー制御技術であるPellston、発熱状況に応じて性能を向上させるFoxtonなどの新技術も実装される予定だ。
トランジスタ数は17億以上にもなるとされるが、「消費電力は130Wのリミットを超えない」という。また「NoconaベースのXeonに搭載されたDemand Based Switching(DBS)により、現在のコアであるMadisonより消費電力を平均で20%削減できる」とした。
■ URL
Intel Solutions Day 2004
http://www.intel.co.jp/jp/business/japan/event/notice/solution/
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
プレスリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2004/041110a.htm
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( 岩崎 宰守 )
2004/11/10 16:47
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