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「ナレッジワーカーに魅力ある人事制度を」、IBCSのHCM実践例


執行役員パートナー ヒューマンキャピタルマネジメント担当の松永達也氏
 アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス株式会社(以下、IBCS)は11月12日、同社のコンサルティング事業のひとつである「ヒューマンキャピタルマネジメント(以下、HCM)」に関する記者向けの説明会を行った。

 HCMは、組織・プロセス・テクノロジーといったさまざまな観点から「人」に関するあらゆる業務ソリューションを提供するサービス。同社では、顧客企業に対して「自ら実証した革新的なソリューションをお客様に提案・導入する」ことをポリシーとして活動している。

 同社が提案するのは、ナレッジワーカーにとって魅力のある人事制度だ。IT化などにより企業の業務形態が大きく変化しているものの、「終身雇用・年功序列・内部育成といった日本企業の人事制度の変化が追いついていない」(同社執行役員パートナー ヒューマンキャピタルマネジメント担当の松永達也氏)のが現状だと説明する。自分の能力を会社に提供し、自己の目標を実現することに重きをおく、いわゆる「プロフェッショナル」志向の人にとって、これまでの日本企業の人事制度の特徴であった「安定収入、能力よりも時間の提供、総合職志向」の人事制度の枠内にはおさまらないのだ。また、組織面から見た場合、社内の人材をどう配置すれば最適になるかというヒューマンリソースマネジメント(HRM)が、人事の主眼であったものが、個人の能力をどう最大発揮できるかというHCMが、個人の能力を発揮するのに適しているという。


 これをふまえ、同社がおこなった人事改革が「プロフェッショナル制度」の導入。これは、これまでの仕事の価値の高低で役職を決めるというものから、その個人のスキル・仕事の成果を評価軸に据えたものだ。「コンサルティングという専門性の高さと能力評価がはっきりしていることもあり、プロフェッショナル制度を導入した。単純に上司がプロフェッショナルとして認定するわけではなく、審査委員会を設けF定している。重要なのは、認定した人をみんながちゃんと褒めること」と、会社全体でプロフェッショナルを認めることで、個人の能力を発揮させる努力を行っているという。

 もちろん、単にプロフェッショナルを認定するだけでなく契約形態もあわせて変更している。「いわゆる正社員待遇の現行型に加えて、2,3年単位で契約内容を見直すプロフェッショナル型、業務委任という形をとり報酬も給与所得ではなく事業所得とする個人事業主型の3種類に変更した」という。同社のコンサルタントのうち、すでに30%がプロフェッショナル型の雇用形態に移行している。「プロフェッショナル型でいえば、収入面ではプラスマイナス28%の変動幅を設けることでハイリスク・ハイリターンになっている。移行した人たちは自分のがんばりが収入面で現れることに満足している」と説明する。

 これ以外に、管理職を育成することもあわせて行われている。「リーダーシップはどちらかといえばその人の素質が中心となるもの。これを分析し、コンピテンシーの強化を行うようにしている」と説明する。具体的にはe-ラーニングと集合研修を併用することで、不足している部分を強化しているという。

 同社の場合、コンサルティングという業務形態でもあるため、プロフェッショナル制度などを採用しやすい立場にあったことも人事制度の改革につながっているとのこと。同様の人事制度についてIBM本社側では現在検討中ということで、具体的な導入には至っていないようだ。また、日本企業で成果主義の導入などの人事制度改革が失敗しているとの質問に対し、「能力評価の軸ができていないと、成果主義は成立しない。能力評価および業務評価が明確であれば、HCMは有効だ」と述べた。



URL
  アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス株式会社
  http://www.ibm.com/bcs/jp/


( 福浦 一広 )
2004/11/12 16:41

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