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パッチ配布向けに機能を「切り売り」、日本アタッチメイト


日本アタッチメイト カントリーマネージャー 高須賀敦氏
 クライアントPCで広く利用されているWindowsは、ほぼ毎月脆弱性の修正パッチがリリースされており、ウイルス被害や機密情報漏えいなどを防止するセキュリティ対策として適用が必須とされている。ところがパッチ管理を各PCの利用者に任せると適用漏れが発生しセキュリティホールとなる危険性がある。そこでパッチ管理を一元化し、管理者から各PCに自動配布するなどの機能を持つデスクトップ管理ツールが注目されており、各ベンダーから発表されている。

 その中で日本アタッチメイト株式会社は、インターネットによるウイルス被害がまだ一般的でなかった1995年からデスクトップ管理ツール「NetWizard」を展開している。そして3月からはもともとの製品から機能を絞ることでPC1台あたり年間3,200円から(101~500ユーザー)のサービスを展開している。同社のカントリーマネージャー高須賀敦氏にデスクトップ管理ツールの現状を聞いた。


機能の“切り売り”により低価格化を実現

 高須賀氏によると、ユーザーのデスクトップ管理ツールへの関心は2003年のMS Blasterの大流行以降、急速に高まったという。「それまでは各PCのインベントリを収集し資産管理のレポートを作成するのが主な機能だった」。その後ウイルスなどによる被害からの復旧作業や日常の管理が思いのほか大変でコストもかかると気づいた管理者らが「“手軽にできないか”と思い始めたのが関心の高まりの理由ではないか」と高須賀氏は分析する。

 またユーザーのほとんどは、社内PCが100台を超える規模の企業だという。「それ以下の企業ではIT管理者やPCに詳しい人がボランティアで管理していることが多いが、100台を超えるとそれも限界となる」ことから、この数字が出てくるようだ。

 しかしいくらパッチ管理が重要かつ煩雑なものでもコストは最小限に抑えなくてはならない。デスクトップ管理ツールにはパッチ配布のほかにもさまざまな機能を盛り込んでいる分、PC1台あたり年間1万円以上かかるものも多い。高須賀氏は「米国ではこの程度でのコストでも受け入れられているため、日本にも同じモデルで展開し苦戦しているベンダーもある」と指摘。「アタッチメイトでは国内市場を分析し、米国本社の製品を日本ユーザー向けに再構成して“切り売り”をすることを始めた」と柔軟な姿勢をアピールする。


パッチやソフトの配信パターン
 それでは切り売りされる同社製品はどのような機能を持つのだろうか。最低価格となる「NetWizard BASE」は「ソフトウェア配信」と「ハード/ソフトウェア情報収集」が主な機能となっている。前者は、パイロットとなるPCを利用してソフトのインストール前とインストール後のファイルとレジストリの変更部分を記録し、アプリケーションやパッチをクライアントPCへインストールするスクリプトを自動生成してリモートインストールを行うのが基本となる。Windows XP SP2の一斉適応も可能だ。スクリプトは専用のエディタで編集も可能で、パイロットPCと異なるバージョンのOSが稼働するPCに対応するスクリプトの生成も容易にできるという。一方後者は、クライアントPCのOSのバージョンやハードウェア構成、インストールされているソフトウェアなどの情報を集めて管理することが可能だ。

 さらに同社では、マイクロソフトがパッチをリリース後、その日のうちにパッチやスクリプトをメールで管理者に送付するサービスも提供している。「クライアントPCのバージョンなどを意識する必要がなく、パッチを当てるかどうか、ユーザーはそれだけを検討すればいい」と高須賀氏は強調する。


パッチ適用の流れ パッチ公開日に送られてくる、スクリプトが添付されたメールの例 スクリプト適用イメージ

他社のASPサービスに技術を提供

 高須賀氏は、ツールの切り売りを始めた理由は2つあると説明する。1つはパッチ管理などニーズを絞って導入してもらい、企業内ネットワークが大きく複雑になった後にさらに便利なツールを提案すること。もう1つは、すでにインベントリ収集ツールを導入しているユーザーに併用して使ってもらうことだ。「パッチやファイル配布機能は他社製品より優れていると自負しており、導入効果は大きい」という。

 さまざまなセキュリティ被害が広がる中、セキュリティ市場も拡大すると同時に競争も激化しており、デスクトップ管理ツールも「非常に競争が激しい状況」となっている。その中で同社は、米国で開発されたツールを国内でメンテナンスできるという強みを生かし、日本市場のニーズに合わせた切り売りのほか、パッチ管理のASPサービスを提供するベンダーに技術を提供するなど柔軟な展開により事業拡大を狙っている。



URL
  日本アタッチメイト株式会社
  http://jp.attachmate.com/
  セキュリティパッチ集中管理サービス「Patch Care」
  http://www.patchcare.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2004/11/19 00:01

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