株式会社富士通研究所と株式会社リコーは11月19日、次世代Webの基盤技術であるセマンティックWebを用いて、業務活動情報を記述するフォーマットを共同で開発したと発表した。
今回開発された記述フォーマットは、業務活動のさまざまな場面に共通して現れる「人」や「モノ」に注目し、それらに関する基本情報と、互いの関係を記述するためのもの。フォーマットでは、企業を構成する人や組織、業務で利用するシステムや機器、業務で生産されるドキュメント、業務で発生するミーティングなどのイベントに関する情報の意味を、コンピュータが理解できる形で定義している。
また、今回開発された記述フォーマットの定義には、次世代Web技術として注目されているセマンティックWebの中核仕様であるOWL Web Ontology Languageが用いられている。セマンティックWebは、Webの発明者であるTim Berners-Lee氏らが提唱する次世代Webの構想で、従来のWebでは人が使うことに重点が置かれていたのに対して、Webをソフトウェアが自動的に処理できる世界を目指している。
富士通研究所は、今回開発した記述フォーマットを用い、タスクコンピューティング技術をベースにして各種の機器が連携するミーティングナレッジ管理システムを開発。RFIDタグとの組み合わせにより、日常のミーティングにおける「誰が誰にどういう資料をプレゼンした」「誰がどういう会議に出た」などの活動情報を自動的に記録することが可能という。さらに、記録した活動情報を自動分析することで、「誰がこの仕事に詳しいか」「誰と誰が一緒に仕事をしているか」といった人に関する知識を抽出し、ある技術に詳しい社内専門家の人脈を探すといった高度なKnowWho検索を実現する。富士通研究所では、2006年度の製品化を目指して研究開発を進めるとしている。
リコーは、今回開発した記述フォーマットを用い、デジタル複写機などの情報機器やドキュメント管理などのアプリケーションをシームレスにつなぐためのプラットフォーム「ドキュメントハイウェイ」と連携するナレッジリソースの検索システムのプロトタイプを開発。ドキュメント管理システム内のプロジェクト情報をもとに、人、組織、プロジェクトといった多様なリソースが保有するナレッジを抽出し、特定のナレッジを持った人、組織、プロジェクトといったさまざまなリソースを検索できるとしている。
今後両社は、開発した記述フォーマットの仕様を公開するなど、広く標準化に向けた協力を求めながら活動をすすめ、業界標準化を目指していく。
■ URL
株式会社富士通研究所
http://www.labs.fujitsu.com/jp/
株式会社リコー
http://www.ricoh.co.jp/
( 福浦 一広 )
2004/11/19 15:40
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