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デルのエンタープライズ事業本部 ソリューション本部長 多田和之氏
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日本オラクル株式会社とデル株式会社は11月26日、プレス向けの説明会を開催し、2003年9月より取り組んできた共同営業体制の成果について解説した。
デルのエンタープライズ事業本部 ソリューション本部長、多田和之氏は「両社のアライアンスはワールドワイドでのものだが、国内ではいい結果が出た。他社(との協業の場合)の4年分に匹敵する成果だ。ベストプラクティスとしてアジア各国へ持っていける」と述べ、非常に良好な実績を残している点を強調する。
もともとこの提携は、お互いの弱い部分を補完するという意味合いが強かった。デルはSME/SMBのエリアで、日本オラクルはエンタープライズの領域で実績を残しており、いわゆる「未開拓顧客」へのアプローチに関しては、お互いの力を有効に活用できるメリットがある。このために両社はまず、日本オラクルのオンライン営業チーム「Oracle Direct」のメンバー10名をデルの営業部隊へ合流させ、顧客からの問い合わせに対して素早く応対できる、シームレスな体制を確立していた。
加えて、2004年7月よりOracle Real Application Clusters(RAC)を採用した無停止型システムのパッケージ販売を開始したほか、8月からは中小規模向けデータベースソフト「Oracle 10g Standard Edition One」をデルの直販Webサイトで販売するなど、各種取り組みを平行して進めてきている。11月25日に発表されたラッキー運輸株式会社の事例などはこのRACのパッケージを用いた案件であるし、多田氏によれば、同社が販売した日本オラクル製品のうち、Webサイトでの割合が15%に達するなど、順調にビジネスとして成長しているという。「FY03以降、当社の日本オラクル製品関連ビジネスは、年平均250%の伸び(案件ベース)を見せている」(同氏)。
■ 「顧客」にもメリットが生まれたアライアンス
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日本オラクルのクロスインダストリー統括本部 営業推進部 ディレクター、遠藤哲氏
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また、日本オラクルの人間がデル側に入り込んでいるため、顧客に対しても今まで以上のバリューを提供できている、と多田氏は説明する。同氏はこの例として、ある酒造会社の例を紹介した。この事例では、日本オラクル側のサポートを受けて細かくヒアリングした結果、Oracle DB Standard Editionだけを利用したいという当初の要望から、Oracle Partitioningを併用したシステムへ構成を変更。顧客にとっても十分に満足のいくものを提供できたという。
「これまでなら、ハードとライセンスを納めて終わっていた」(多田氏)ビジネスを、日本オラクルの支援によって拡大でき、しかも顧客の満足度も高めることができたのである。多田氏は「アライアンスを組んで本当によかった」と振り返った。
一方日本オラクル側も、デルを通じて販売することで、従来の高い・複雑というイメージを払しょくできる、と1年間の動きを前向きにとらえている。同社では再三、SME分野においてライバルと目されているSQL Serverとの比較を行い、マイナスイメージを払おうとしているが、この日も同様にHA構成時や、最小ユーザー時の価格比較を提示し、アピールを行った。
では、このアライアンスの今後に関してはどうなのだろうか。日本オラクルのクロスインダストリー統括本部 営業推進部 ディレクター、遠藤哲氏は、「デルとオラクルでしかできないことをする」と述べ、これまでと同様、密接に関係しながら展開していくことを表明した。「スタンダード、シンプル、適正価格、安全、簡単」を5本柱として共同で製品を提供してきたが、今後はこれをさらに進め、「よりお客様にとって付加価値のあるものを目指す」(同氏)という。
まず、「これまでのように単に日本オラクル製品とデルのハードをくっつけて販売するだけでなく、(顧客の課題を解決するための)ソリューション提案型モデルの提供も行っていく」(遠藤氏)。また、サーバーを最適化するコンフィグレーションツールの提供、より早期の導入を可能にするプリインストールモデルの投入、といったソリューションの拡充に加え、現在では300社ほどのISVが利用しているプログラム「OnOracle」の拡充を行い、ISVに対してもデルのハードを利用した検証用環境を提供するなど、さらなる取り組みの実施を予定している。
■ URL
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
デル株式会社
http://www.dell.com/jp/
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( 石井 一志 )
2004/11/26 20:00
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