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経営者にも管理者にもメリットがある、SAPの“ESA”

SAP TechEd '04 基調講演

 SAPジャパン株式会社主催の「SAP TechEd '04」が11月30日から12月2日まで、東京・目黒雅叙園で開催されている。初日には、独SAPのSAP NetWeaver, Member of the Extended Management BoardのKlaus Kreplin氏による基調講演が行われた。


キーワードは「ESA」

SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション統括本部長の玉木一郎氏
 基調講演に先立ち、SAPジャパンのバイスプレジデント ソリューション統括本部長の玉木一郎氏による開催の挨拶が行われた。玉木氏は、同社がこれまでに出荷した製品を振り返り、「80年代に出荷したSAP R/2は、世界ではじめてメインフレームのテクノロジーをベースとして、リアルタイムのビジネスプロセスインテグレーションを実現したビジネスソフトウェアで、当時のテクノロジーとしては、大きな反響があった。90年代に出たSAP R/3では、クライアント/サーバーアーキテクチャにのっとって、スケーラブルでオープンなビジネスプロセスインテグレーションを実現した」と、時代時代のテクノロジーにとって最適な製品を出荷していることを強調した。

 しかし、それらの製品も時代のニーズの変化によって十分な対応ができなくなるのも事実。こうした変化に対応するテクノロジーとして、「SAPでは、ESA(エンタープライズサービスアーキテクチャ)を2年前から提唱している」と、ESAを前面に打ち出した。ESAは、企業の既存システムを生かしつつ、ITシステムを柔軟に構築するための同社が提唱するアーキテクチャ。このESAを実現するのが、HTTP、XML、Webサービスなど、インターネットの標準機能を装備した統合アプリケーションプラットフォーム「NetWeaver」だ。玉木氏は、ESAを利用することで企業の生産性向上を実現することが同社にとっての最終目標であると述べた。


変化の激しいビジネスには、柔軟に対応できるESAを

独SAP SAP NetWeaver, Member of the Extended Management BoardのKlaus Kreplin氏
 続いて、Kreplin氏からは、ビジネスの側面からESAについての説明が行われた。Kreplin氏は、ITのビジネス利用について、「ビジネスモデルを作り上げる創案の段階、それを拡大する段階、そして統合する段階、最後に外注化する段階を経て、中止という流れがある」と基本的な流れを紹介した。これを近年航空会社が導入している自動チェックイン機を例に、「これまでの窓口でのチェックイン業務をセルフ方式にするという新しいアイディアがまず登場する。そして、これを導入する段階がある。この時点では、ライバルはまだ少数であるため、独自色が強いものとなっている。やがて、他社も似た仕組みを導入することで、他の自動チェックイン機との統合が必要になってくる。そして、一般化してしまえば、外注に委託するだけでよい業務となり、やがて新しい仕組みの登場により、消えていくことになる」と説明する。

 ただし、「ESAはビジネスの変化に柔軟に対応できるため、新しいニーズにより新機能が生まれた際、すぐに既存システムに組み込むことができる。つまり、これまでのように新しい機能が生まれたら、古いシステムを捨てるというのではなく、利用できるものはそのまま使い続けられる」と、企業にとってESAを導入することによるメリットを説明した。

 この考え方のメリットは、企業のIT投資の現状を見るとより理解できる。一般的な企業のIT予算のうち、完全に新規の案件が占める割合は2割以下という調査結果が出ている。IT予算のほとんどは、既存システムをなんらかの形で生かし続けるために使われているのだ。「ESAは、既存のシステムを生かしつつ、柔軟に新しいシステムを統合できる。そのため、経営者にとってはTCOの削減が、システム管理者にとってはビジネスの変化に即応できるシステムを柔軟に構築できる」と、ESAおよびNetWeaverを採用するメリットを強調した。

 Kreplin氏は、同社のロードマップを示し、「各製品をESA対応に移行しつつある。ESAを採用するのなら、今がチャンスだ。6~8年後を見据えて、ESAを採用してもらいたい」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.co.jp/
  SAP TechEd '04
  http://www.medialive.jp/events/TECHED04/


( 福浦 一広 )
2004/11/30 19:42

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