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Longhornにも反映されるマイクロソフトのサーバー管理構想「DSI」

~Microsoft Management Summit 2004 Japan 基調講演

 マイクロソフト株式会社は、Windows Server Systemのシステム管理製品やインフラ製品に焦点を当てたテクニカルコンファレンス「Microsoft Management Summit 2004 Japan」を11月30日に開催し、米MicrosoftでWindows Server、システムマネジメント、ストレージ各部門の総責任者を務めるシニアバイスプレジデントのボブ・マグリア氏が、「Dynamic Systems Initiative ~ITインフラストラクチャの進化と新たな可能性~」をテーマに基調講演を行った。


米Microsoft シニアバイスプレジデント ボブ・マグリア氏

アプリケーションのノウハウを設計段階からXMLベースの情報として格納できるSDM
 企業のIT環境は、UNIX、Windows、Linux、メインフレームなどが混在し、Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーから構成されている点から複雑性が増している。マグリア氏は、管理コストがIT予算の70%を占めるまでに至った現状に触れ、「こうした複雑な環境したで運用されているアプリケーションの管理に必要となる構成情報は、これまでスタッフの頭の中だけにあった。これがメール、壁の図面、立ち話といった非公式な伝達方法でやりとりされ、体系的な手法がないのが現状だった」とした。そして「システムを把握できないと、管理コストは十分に削減できない」と述べた。

 そして「企業が価値を高め、競合との差別化を図るためには、Dynamic Systems Initiative(DSI)によって運用と新規投資の比率を逆転させねばならない」とし、「業界各社と手を携えて、長期的展望のもとでDSIを発展させていく」とした。

 マイクロソフトの提唱するDSIは、「システムの構成情報を体系的に取り込んで、ビジネスアプリケーションに関わる開発者、管理者、エンドユーザーなどの当事者へ横断的に伝えるもの」になるという。例えば「エンドユーザーの経験したアプリケーションのレスポンスタイムに関するノウハウなども、開発へとフィードバックし、次の開発に役立てるといった情報伝達のループが、システムの展開、運用コストを下げることにつながる」とした。こうした情報は、SDM(System Definition Model)という形で、アプリケーションの設計段階から導入、運用までが橋渡しされることになる。


MOM管理パックには、運用管理に必要な各種のナレッジ情報が詰め込まれている
 12月1日よりマイクロソフトより発売されるMicrosoft Oparation Management 2005は、「ビジネスアプリケーションのナレッジを、システムの管理性を向上に役立てるもの」で、「DSIのなかで重要な位置を占める」とされる。MOMでは、ExchangeやSQL Serverなどのアプリケーションや、OSの機能であるActive Directoryなどの管理対象ごとに「開発チームが作成を担当した」管理パックが提供される。

 管理パックには、これまでのベストプラクティスのノウハウのほかに、稼働状況のヘルスモデルやサービス検出モデルといった情報が含まれており、運用管理のオペレーションを可能な限り自動化して管理を効率化する。またパートナーとの協業により各社からMOM対応の管理パックが提供されることで、VERITAS、Citrixなど他社アプリケーションの管理、IBM、HP、Dellなどサーバーハードウェアの温度や電源、ファン、ディスクの監視などにも対応する。またMOM Connecter Framework(MOF)により、NEC、富士通、日立などの管理製品との連携も可能となっている。また国内では未発売のMOM 2000と比べても、アラートの遅延時間や管理対象サーバーの検出時間、エージェントの導入時間などが大幅に短縮されている。


IBM eServerからファンを引き抜くマイクロソフト株式会社サーバープラットフォームビジネス本部 IWインフラストラクチャ製品グループ マネージャー 寺田和人氏 すると、MOMの管理コンソールからFANの異常を検知した

 2005年第1四半期に提供予定とされるVisual Studio 2005には、開発アプリケーションにSDMを実装するためのモデリングツールも含まれる予定だ。これにより「カスタム開発されるビジネスアプリケーションの設計段階で、コンポーネントの知識情報をモデルとして取り込むことで、運用管理などのライフサイクルを通じて情報を応用できる」という。また導入の際に必要となるセキュリティ認証などの条件を、設計時に定義することも可能となる。開発や展開のフェーズではなく、設計の段階で運用を考慮して、互いの制約条件などの設定に矛盾がないかも検証できる


ドラッグアンドドロップで接続情報を定義するアプリケーション接続ダイヤグラム(左)とネットワークを意識しながらサーバー構成をモデリングできる論理データセンターダイヤグラム 構成情報のプロパティから、展開先となるサーバーのセキュリティ認証条件なども設定できる

 マグリア氏は、「モデルを使ってナレッジを吸収するコンセプトは、大きな可能性を秘めている。業界が十分に活用するためには長い時間を要するだろうが、Microsoftでは、次のLonghornサーバーにもこの技術を反映させる。今後何年も生きていくコンセプトになるだろう」と語った。

 基調講演では、MOM以外のWindows Server System製品として、最大64までの仮想環境を1台のサーバーハードウェア上に構成できる「Virtual Server 2005」も紹介された。これについては、「NT 4.0環境など世代の古いハードウェアで稼働するアプリケーションを新しいハードウェア上に統合できるほか、アプリケーションの開発・テスト環境として用いることでコストを削減できる」とした。

 インベントリ情報や、MBSAで分析したパッチの適用状況を管理できる「System Management Server(SMS)2003」は、Service Pack1が2005年第1四半期にも提供される予定だ。これによりイメージファイルのデプロイメント機能が新たに追加されるほか、Pocket PCも管理対象としてサポートする予定。また2005年1月よりデル株式会社から提供予定の「SMS 2003 Inventory Tools for Dell Update」により、デル社製サーバーのBIOS、ファームウェア、ドライバなどの配布と管理にも対応するという。

 なお同氏は今後の製品ロードマップとして、x86-64環境をサポートするWindows Server 2003 SP1と、Windows Server 2003 R2のベータ1を今年12月をめどに発表することを明らかにした。またLonghornについても2005年中にベータ1を、2007年に正式版をリリース予定とした。システム管理製品については、SMSとMOMの情報を元にした分析レポートを行える「System Center Reporting Server」も今後提供予定とし、「次期バージョンのMOMでは、SDMへの対応をさらに推し進めていく」と語った。


Webブラウザで仮想OS環境を管理できるVirtual Server 2005」 2005年第1四半期に提供予定のSMS SP1では、機能が大幅に拡充される 今後のシステム管理製品のロードマップ


URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Microsoft Management Summit 2004 Japan
  http://www.event-registration.jp/events/mms/
  Dynamic Systems Initiative
  http://www.microsoft.com/japan/windowsserversystem/dsi/

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( 岩崎 宰守 )
2004/11/30 18:49

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