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「企業のコンプライアンス実現にILMが有効」、米EMCのトゥッチCEOが語る


米EMC社長兼CEOのジョー・トゥッチ氏
 EMCジャパン株式会社は12月1日、米EMC社長兼CEOのジョー・トゥッチ氏の来日に伴い、プレス向けのラウンドテーブルを開催した。

 10月に発表された同社の2004年第3四半期決算では、5期連続の前年比2ケタ増の成長を記録、トゥッチ氏は「2004年全体で、おそらく30%以上の成長となるだろう」と、業績は好調だ。トゥッチ氏はこの好調の背景として、同社が提唱するILM(情報ライフサイクル管理)の影響が大きいと説明する。

 ILMは、使用頻度の高いデータを性能・可用性の高いファイバチャネル接続ストレージなどに置き、頻度が落ちたデータをATAやテープドライブなど安価なストレージに自動的に移動することで、プロセス管理の簡素化と管理コスト削減を両立させるという考え方。同社では、これらを実現するために、情報ストレージソリューション製品の米レガートシステムズ、コンテンツ管理製品の米ドキュメンタム、仮想コンピューティング製品の米VMwareの各社を買収するなど、ソフトウェア事業の強化を図っている。

 「3社を買収することで、ILMを実現するためのソフトウェア部分を充実させることができた。たとえば、ILMでもっともニーズが高いとおもわれるメール管理などでは、ドキュメンタムの技術などが大きく役立っている」と、買収した各社がILMの強化に欠かせない存在であることをアピールした。

 特に米企業改革法や日本のe文書法など、企業にとって情報管理が必須となるにつれ、ILMが非常に有効になっているという。「コンプライアンス関連では、世界的にみても大きな差は起きていない。EMCでは世界各地の法令をマーキングするなど、情報収集を積極的に進めている」と話す。「ILMの考え方は、コンプライアンスで見た場合、コスト削減に直結する効果がある。たとえば、企業にとって一番管理が必要となるメールを見た場合、1通の添付ファイルのあるメールを複数人に転送するだけで、非常に大きな容量になり、ストレージを圧迫してしまう。こうした問題に対し、EMCではメール本文は複数人分コピーするが、添付ファイルは1つだけを保管するなど、ストレージの容量を効率的に利用できる機能を提供している」と、情報管理が必須となった企業にとってILMが有効である点を強調した。

 今後どの分野への投資を進める予定であるかという質問に対しては、「メタデータの管理技術をさらに高めたい。蓄積された情報を管理する情報を充実させることで、より管理者への負担をなくしたい」と、情報管理の更なる自動化を目指す考えを示した。

 買収予定などについて聞かれると、「この業界はプレーヤーが少ないため、分野などを話すだけで翌日の株価に影響を与えるので話せない」と、笑いながら述べつつも、「5000名以上の開発エンジニアを抱えているが、それらだけでさまざまなアイディアが生まれるとは思っていない。また、アイディアが生まれても製品化するという課題もある。これを改善するために、大小さまざまな投資は行う予定だ」と、ILM実現に向けて今後も投資は行うことを明らかにした。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/


( 福浦 一広 )
2004/12/01 16:12

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