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日本電気株式会社 代表取締役社長の金杉明信氏
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日本電気株式会社主催の「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2004」が12月1日から3日まで、東京ビックサイトで開催されている。初日には、同社代表取締役社長の金杉明信氏による「ユビキタス社会の実現に向けて」と題した基調講演が行われた。
金杉氏は、現在の日本の状況を「最先端のユビキタス環境が整った社会」と明言する。「携帯電話を見ると、9割がインターネット対応になっており、さらに電子マネー対応など進化している。また、無線LANの普及も進み、携帯電話と無線LANを融合した製品も生まれている。ブロードバンドの普及率も30%と高く、料金にいたっては世界で一番安い料金体系となっている」と、インフラ面でのユビキタス環境が世界でも整った社会であると述べる。
また、インフラ面だけでなく、社会との接点が増えていることにも触れた。「電子政府・自治体の基盤整備が完了し、電子申請や電子入札などが可能になっている。これは世界的に見ても非常に進んでいる」と、社会のあらゆる面でユビキタスの実現が可能になっていることを示した。
では、企業はユビキタス社会をどのように活用すればいいのだろうか。金杉氏は一例として住宅リフォーム会社での活用例を紹介した。「住宅リフォームでは、多種多様な商品知識が必要であったり、設置環境を確認する必要がある。こういった場面で、ノートPCにUSBカメラをつけ、建材メーカーとVoIPを利用して会話ができると顧客の要望に適した商品の紹介が容易になる」と、ブロードバンドの普及により、こうした形の提案が現実に行えるようになっていると話した。
また、経営の変革にもユビキタスは有効であると金杉氏はいう。同社のブロードバンドソリューションセンターを例に、「ドキュメントの電子化やノートPCと無線LANを使うことで実現したフリーデスク制などにより、コピー数量で75%減、会議の開催数で70%減となるなど目に見えるコスト削減が実現している」と、ワークスタイルの革新により、リアルタイム経営の実現も可能になってきたと話す。
そのほか、同社のPC生産現場でも、従来のバーコードを利用した生産管理からRFIDを利用した管理方法に変えることで、生産性の向上につながったと話す。「バーコードを利用していたときは、1日に8万回もの読み取り作業が発生していて、これが作業効率の妨げになった。RFIDを利用したことで、この作業がなくなり、また、リアルタイムに製造過程を追うことも可能になった」。
もちろん、ユビキタス環境は1社だけにとどめるものではなく、他社、それも異業種との新たな連携のきっかけになると金杉氏は語る。同社が先日発表したFeliCaを利用した会員カードシステムを利用することで、異業種店舗間でクーポンサービスの連携も可能になるなど、従来では思いつかなかった使い方も考えられると話す。
最後に金杉氏は、情報システム部門の視点でユビキタス活用のポイントを紹介。「IP化の推進による通信コストの削減や、ブロードバンドを生かすことによるワークスタイルの革新、スタッフ部門の連携によるセキュリティの確保、異業種連携による新事業の創造など、CIOが経営の視点を持ち、ユビキタス活用の推進役になることが重要」とユビキタス社会を経営にどう生かすかが重要であると述べ、講演を締めくくった。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2004
http://www.uf-iexpo.com/
( 福浦 一広 )
2004/12/02 00:24
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