米サンフランシスコにて開催されている「Oracle OpenWorld」において12月6日(米国時間)、米Oracle プレジデントのチャールズ・フィリップス氏が、「発展を続けるインフォメーションエイジ」をテーマに基調講演を行った。
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米Oracle プレジデント チャールズ・フィリップス氏
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Information Age Applicationを実現する3つの選択肢
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OpenWorldは今回の開催よりOracle AppsWorldと統合された。「テクノロジーとアプリケーションを組み合わせて初めて実現できる」アーキテクチャとして同氏が挙げたのが、Oracle製品の特徴ともなる“Information Age Application”、“Data Hub”、“Grid”の3つだ。
「Information Age Application」は情報化時代のアプリケーションというべきもので、一貫性の保証されたデータをリアルタイムで格納し、単一のビューで提供することで、経営の意思決定にも役立てられるというビジョンだ。
同氏は「これまでは買い掛けやオーダー管理といった個別のアプリケーションは別々のデータソースを持っていた。これを連携させる場合には、情報の細分化が原因で問題が起きる」とした。しかし一方で「データを最適化し、ひとつのタスクに標準化するには痛みが伴うが、データはアプリケーションパッケージと同様に重要なもの。情報のパワーこそが企業のビジネスを変えていく」とした。
これが実現できてはじめて、プロセスの透過性が高まり、またプログラムの処理内容やパフォーマンスも査定できるとし、「マトリックスの正確性のためには情報が必要」と述べた。また情報を集中させることで重要な資産を容易に共有可能になるとともに、管理性や稼働率も向上するとし、単一のデータモデルによる質の高い情報を持つことの重要性を訴えた。
このようにデータモデルを統合し、それを囲む形でアプリケーションを構築するのが、「5年前には受け入れられなかった」同社のOracle E-business Suiteとなる。Information Age Applicationを実現するためには、1)Oracle EBSへの完全移行、2)レガシーアプリケーションとの併用、3)データハブを用いた連携の3つの選択肢があるとした。
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他社製品やレガシーシステムとのデータ連携を実現するCustomer Data Hub
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Oracleでは今後も情報を中心とした戦略を推し進める
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「Data Hub」は、SAPやSiebelといった他社製品やレガシーシステムとデータを連携するビジョン。リアルタイムでデータを更新するため一貫性を損なわず、また既存アプリケーションとのインテグレーションの上での問題を解決するものとも位置づけられるもの。同氏は「データハブにはコンピュータアーキテクチャの変化が表れている」と語った。
Oracleではすでに顧客情報を統合する「Customer Data Hub」を出荷しているが、今回新たに製造業向けの「Product Data Hub」、官公庁・自治体向けの「Citizen Data Hub」、金融業界向けの「Financial Consolidation Hub」、「Financial Services Accounting Hub」と4つのデータハブ製品もあわせて発表している。
アプリケーションの負荷要求に応じてリソースを自動的にロードバランスする“Grid”の技術は、サーバーの利用率を向上するだけでなく、「管理を簡素化し、システムを最適化できる」ものとした。この点が、Oracleのグリッド技術を他社と比べた場合の優位点にもなるという。同氏は「例えばIBMでは何十人何百人の手からなるコンサルティング、インテグレーションが必要になる」と語った。またアプリケーション側への変更を必要としない点も大きな違いと述べた。
この3つにより実現する同社のアーキテクチャは、「複数のディレクトリを利用することなくセキュアなプラットフォーム認証を行えるなど、共通のサービスが重なることなく、一貫性のあるコンピューティングのすべてが一緒に機能するITインフラ」とした同氏。「これだけ合理化、標準化されたものはない」とした。
なお講演後のQ&Aでは米PeopleSoftの買収問題に質問が集中したが「12月中にデラウェアの裁判官とミーティングを行うまで進展はない」とした。製品ラインアップの統合については「EBSとの比較では、顧客が望む選択肢を提供していく。過去にも企業買収による技術統合を複数行っており、実装への影響はない」とした。
■ URL
米Oracle
http://www.oracle.com/
Oracle OpenWorld
http://www.oracle.com/openworld/
( 岩崎 宰守 )
2004/12/07 17:58
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