12月6日から9日まで米サンフランシスコで開催されている「Oracle OpenWorld」。その会場において、米Oracle取締役会議長で経営陣代表の一人であるジェフ・ヘンリー氏に、米PeopleSoftの買収を中心に話を聞いた。
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米Oracle 取締役会議長 ジェフ・ヘンリー氏
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ヘンリー氏は今夏までOracleのCFOを10数年務め、現在はOracle側からの4名にインベスターを加えた8名からなる取締役会の議長として同社の経営において大きな役割を果たしている人物だ。
現在でもデータベースの分野で大きなシェアを持つOracleだが、米PeopleSoft買収の目的について同氏は「アプリケーションでも大きな会社になることで、顧客に統一された形のインフォメーションアーキテクチャを提供できる」と、その企業戦略上での重要性を強調した。
Oracleでは過去にはデータベースベンダーを買収することで足りない技術を補完してきており、アプリケーションでもこうした方針に変わりはないという。
そして「PeopleSoftのほかにも、買収先となる企業として、業界特化型のユニークな製品ベンダーをいくつかすでにリストアップしており、PeopleSoftの買収がうまくいかなくともアプリケーション分野での買収は続けていく」との考えを述べた。
この領域で競合する独SAPとの比較では、「業界別の機能をはじめ多くの機能を持つSAPだが、Oracle製品にはオープン、ローコストといった利点がある。情報をトランザクションシステムに出せる新しいBIの機能もユニークなもので、アーキテクチャ的に見ても長期的な差別化要素は多い」とした。
そしてIT業界の動向については「ソフトウェアベンダーの数が減少しており、市場ではTCOや複雑性の解消が重要視されている」との見方を示した。そして「顧客企業は以前に比べ、ITへの投資に慎重になっているが、経済的な期待感などから1年後には新規プロジェクトへの興味が持ち直すだろう」と予測した。
さらに「市場における競合他社の数は減り、成長率も鈍化しているが、RFIDなどによりデータベースなどトータルのデマンドも増していくだろう」とした。そして「今後の核となっていくのはERP、CRM、アプリケーションサーバー、データベースといった製品だ」とした。
また「テクノロジではMicrosoftとIBM、アプリケーションではSAPが今後も大きなライバル」とし、MicrosoftはOS、IBMはハードウェアとサービスにリーダーシップを持っており、ソフトウェア全体にフォーカスを持つOracleとの違いとなっている」とした。
「OracleとしてはTCOを下げるためにシステムを簡素化したい。このためにオープン戦略を採っている点がMicrosoftと違う」とした。さらにIBMミドルウェアはインテグレーションに多くの作業が必要になるとし、よりローコストで導入可能な点がオラクルのメリットとし、Linuxの適用拡大を含め、今後もOracleではTCO削減に力を入れていくと語った。
Oracle on Demandについては「市場ではホスティングの提供形態を望む顧客が増えている」とした一方で「Oracleがオンデマンドでのみ製品を提供し、ソフトウェアライセンスを販売しないことは今後もないだろう」とした。
■ URL
米Oracle
http://www.oracle.com/
Oracle OpenWorld
http://www.oracle.com/openworld/
( 岩崎 宰守 )
2004/12/08 11:01
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